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「職人の爪のあいだ」③富山県高岡市高田製作所編

伝統産業・職人・町工場・手しごとをこよなく愛する、オタクな日本伝統産業女優の村上真希だからこそ聞ける、他では聞く事のなかったつくり手の芯の部分、根源に届く様な質問を投げかけていきたいと思います!

聞き手/文 ”伝統産業女優”村上真希

綺麗な鋳物・綺麗な研磨に特化した高田製作所。

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原型、造形、鋳造、研磨、とほぼ全行程作業される高田製作所。工場もとっても広く、奥には大きな機械もあり数々の製品が毎日作られていきます。

富山県高岡市で、真鍮鋳物製造を行っている「高田製作所」。真鍮・鋳物の特性を活かした新しい商品を常に開発し、製造し、人気商品にまでに持っていかれている、高田専務の芯のお話を伺ってきました!

真希(以下、真)
:はじめまして!伝統産業女優の村上真希ですっ!略して“伝女”ですっ♡

高田さん(以下、高)
:おぉ~!お噂は常々・・・


:なぬっ!ありがたいです!!私は《職人さんのアイドル》になりたいのでっ光栄です!・・・歳の話はNGです!!笑


:笑


:それではそれでは・・・今回、【にっぽん てならい堂】での連載スタートにあたり、店長さんから「第一弾どこへ行きたい?」ときかれ、間髪入れずに「高岡ぁぁぁああーーーー!!!!」と叫んだくらい、高岡が大好きでやって参りました!!笑


:お!それは嬉しいですね!よろしくお願いします!!


:まず、オーソドックスなところからっ。高田製作所さんの、そして高田さんのお仕事内容を教えて下さい。

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砂型。ベテランの職人さんが一つずつ組み立てていきます。簡単のように見えて、少しの力の入れ間違いだけでも、製品への影響が出るため、高度な技術が必要になる工程です。


:高田製作所は、バターナイフから車止めまでも、綺麗な鋳物・綺麗な研磨に特化した、鋳物屋です。その2つの技術を使って、日本だけではなく、世界に向けて様々な製品をお届けをしています。オリジナル商品・オーダーメイド商品の企画、試作品、営業窓口を僕は担当しています。なので、3Dプリンターやワインセラーが必要なんです。


:なぬっ!!ワインセラー!!!!!それは素敵すぎますね!!!

 

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ココから分量を分け、それぞれ溶かされていきます。右側は、一回成型された余分な部分をもう一度溶かして、再び鋳造されます。


:夜遅い仕事なんですよね~なのでワインをね。・・・と言うのは半分冗談で、3Dプリンタで出した作品はアクリルで出来ているので温度調節も必要になるので、ワインセラーがあるんです。ま、ワインもしっかりいれてますけどね。笑


:半分本気なんですね。笑 おぉ~。良いワイン入ってますねぇ・・・じゅる。


:飲みます?


:え?いいんですか?♡って、大丈夫です。安心して下さい。こう見えてお仕事中ですから。笑

伝統工芸をミックスした女子力高いアクセサリースタンド

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高田製作所のヒット商品。アクセサリースタンド。錫でできているので、自由自在に曲げることができ、ひとつお部屋にあるだけて気分も変えてくれる私もお気に入りの製品です♡


:やぁ~でも、本当高田製作所さんの製品はとっても惹きつけられる商品ばかりで、女子の心をつかむのがうまいですよね~。特に、この製品がイチ押しの代表商品です!!っていうのがあれば…たくさんあるかと思いますが。


:そうですねぇ・・・やはりこのアクセサリースタンドですかね。


:わぁ~このアクセサリースタンド、初めて拝見した時、衝撃受けましたもん!錫製品の特徴を活かした、自由自在に曲げることの出来る所に「きゅん」で、私が見たのは街灯の横に猫が伸びをしているバージョンので、おもわず可愛すぎて「っきゃ♡」って声に出てしまうほど「きゅん」としましたね!これはマストですね!!


:ありがとうございます。そうですね。この製品は高岡の伝統工芸代表の2種“銅器”と“漆器”がミックスされている当社の代表商品ですね。


:また、固くないのが良いですよね。あたたかさを感じます、とっても。金属なのに冷たくないんですよね~。温度があるわけじゃないのに“錫”の曲がる特性と、そしてこのデザインとでとっても心があたたまるアイテムですよね!(曲げてみる。くにゃり。くにゃり。自分の指輪掛けてみる・・・かっかわえええええ!!!!!!♡)


:ありがとうございます!ちなみにこのシリーズはいくつか種類があるんですけれど、一つずつ裏ストーリーが設定されているんです。たとえば、コレは止まっている鳥は“雄”と“雌”で、木も成長途中で家の木が伸びている最中なんですね。


:わぁ~ステキ!!その物語が設定されていると聞くと、聞いてみたくなりますし、より愛着がわきますね♡ プレゼントにも、そして結婚式の引出物などにも最適ですよね!!女子としてテンション上がる要素ばっかり!!


:そうなんです、よく結婚式の引出物にお選びいただくことが多い製品になりますね。つくり手からすると、この製品は技術がミックスされている点が魅力なんですね。そして、使って頂く側からの魅力は、こうやって曲がる錫の特性を活かして、お部屋の模様替えをするかのようにアートの一つとして、遊びながら楽しんでいただけることだと思いますね。そんな遊び心を提供できるのが魅力かと思いますね。


:こういったアイテムが一つお部屋にあるだけでとっても、生活が豊かになる気がしますね。女性はアクセサリーを毎日付けるものだし、そしてこのスタンドにかけるのは、数が限られていて特別感も増しますしね。テンション上がります!るんっ♪ってなりますね!!


:あ、それはうれしいお言葉ですね!


:て、このアクセサリースタンドを題材に、女子の日常生活を舞台に短編映画一本撮れそうですね!!わたし出ます!!!ほんとこのスタンド、フォトジェニックですもんね!!ってすぐ映画にしたがる。笑


:いいですねぇ!!撮りましょうよ!!


:PR映像!!ふふふ。わたしほんとに撮りますよ!そして伝統産業女優としては職人さんにもぜひフォーカスを当てたいですね!!!


:ぜひぜひ!!しましょう!!


:楽しみにしてます!!笑

ものをつくることは人を愛すること

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磨き上げ=研磨のラインです。磨き上げられた製品は見違えるほど光を放ち、魅力が徐々に増されていきます。

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一丸に「磨く」といっても、職人技です。研磨機にかけられどんどん光り輝いていく姿はとっても美しかったです。


:っと、気を取り直して( ー`дー´)キリッ笑 そんな、製品に愛情を注ぎ込む高田さんの、一番の得意な工程、または分野があったら教えて下さい。


:んーーーーーーーー。“トキメキ”や“トキメク”製品を生み出していくのが得意ですね。僕はお買い物って“トキメキ”だと思うんですね。トキメキを持たせたものづくりが得意ですね。

 

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高田さんの相方。のぎす。


:やぁ~もう!女子が好きな魅力満載じゃないですかぁ!!ステキっ!!高田製作所さんの製品が女子からの支持が高いのも、お話聞けば聞くほど納得ですねぇ!!


:ありがとうございます!


:では、“伝統工芸品”や“ものづくり”に興味を持ち始めて、今後そういった“手しごと”関連のお仕事につこうとしている若者たちに向けて、メッセージやアドバイス等ありましたら是非教えて下さい。


:やっぱり僕の原点は「ものを作ることは人を愛すること」なんですね。「Excellence crafts love, Love crafts excellence.」でExcellentなクラフトを作る、好きな人へのものづくり、をして欲しいですね。
なので「好きな人をたくさん増やして下さい!」と僕はいつも言うんですね。その動きをすると当然苦手な人も出てきて、でもソコにへこたれずぜひどんどん「好きな人」を増やしていって欲しいですね。そのほうが良いものづくりが出来ますよって言ってますね。


:いいですね~。思いがあるほど、手にした人にはその温もりはきちんと伝わりますからね。すてきな心がけ。わたしもメモりましたっ!!好きな人いっぱい増やそうっ♪


:そうですね!ぜひそうしてくださいっ。あ、それともう一つありました!「背伸びをしなさい」「1cmでもいいから、気持ち的に高いヒールを履きなさい」と伝えてきましたね。今の自分が欲しいモノを手に入れるのではなく、将来の自分が欲しいと思うものを手に入れましょう!と。今欲しい物を手に入れてもソコで満足しちゃうんですよね。


:向上心や覚悟で、より前向きに良いパワーで進んでいける感じですね!


:そうですね。大きな視野で独りよがりではないものづくりをしていって欲しいんですよね。人もモノもパワーがありますからね。人って価値の共感だと思っているので。綺麗なものには綺麗なモノが集まってきますからね。


:なるほど。そういった事も、知ってるのと知らないとでは選択の幅も変わってきますからね!ものづくり以外のことも学べる、高田先生の授業楽しそうですね♪

伝統を継承しつつも変わっていかないといけない

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彫金。より細かい繊細な表現部分は一つずつ手彫りで彫っていきます。

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硬い鉄を彫る技術。滑らかに動いていく刃に気持ちよさすら感じます。美しい。

真:
それでは、今後の高田製作所さんまたは、高田さんの野望や、今後の方向性などありましたら聞かせてください。

高:
はい。一本軸を通しているのは、「技術の遺伝子を未来へ運ぶプロジェクト」ということだと思っています。ロングセラーの商品の開発を積極的に行い、伝統技術を継承しつつも、3Dなどの新技術も率先して取り入れていくことで、ものを作ることで人の役に立ちたいと思う人が集まる場所を確立し、自分の代だけではなく、自分の子どもや孫まで続けていくと決めています。ま、自分の子供に「違うことやりたい」って言われてしまったらそれまでなんですけどね。笑 でも、自分の身内だけとは限らないと思っているんですね。他の方でもよくって。この技術が残っていくようにと思っています。その準備も既に始めているところですね。


:400年も続いた伝統を是非、継承していってもらいたいですね。


:さっき、鋳物を型に流していた23才の青年は、小学校の頃にうちに社会科見学と体験に来た子で・・・


:えぇぇ~~~~~~~~!!そうなんですね!!!ステキ!!涙


:でその時に、鋳物の職人になりたいと思い、でもそのままではいけないと京都の学校で鋳物を学んで、面接へ来てくれたんですね。


:わぁ~~~帰ってきたんですね!!


:そういった流れも出てきているので、続いてくれたら良いなぁ・・・と思っていますね。


:わぁ。本当ですね。本当に心から願っています!!!そして、こういったささやかな活動ではありますが、私も少しでもお役に立てればと熱いオタク心満載で活動しております!!


:ありがたいですね!本当ありがたいです。でも、良いことばかりではなかったんですね。。僕が入ったのは18年前で、その頃に居た職人さんは今はもう2人しか残っていないんですね。でもやはりそうやっていかなかったら今もうこの“高田製作所”は無いと思います。
初めは品質不良や納期遅れなど問題はたくさん発生していましたけどね・・・。勿論、熟年の職人さんの凄さや有り難みはたくさんありましたけど、次のステージに行くには、今となれば総入れ替えという選択で良かったんだと思っています。伝統って変わっていかないといけないんですよね。


:商品だけではなく、人も変わっていかないといけないターニングポイント的な時代になってきてるんですね。


:ほんとうそうなんです。


:ステキなお話ありがとうございました!!
では!最後に・・・唯一無二の“日本伝統産業女優 村上真希にやってもらいたいこと”はありますか?


:職人さんの日頃の、ライフスタイルを紹介していって欲しいです!!村上真希が代役でやっても良いですし、ドキュメンタリーでも。色んな職人さんの日常を作品化して、それに対して人々の共感を得るような映像を、たくさん作って発信していってもらいたいと思います。
技術だけではなく、人生とその職人さんの背景までもを物語として、世界の人の気持ちも巻き込めるようなステキな作品を是非作っていって頂きたいと思います。


:大共感です!!


:それは、やっぱり一般的に言われる“業界”の人では切り込んでいけないと思うんですね。その分野に愛情を注いでいる“村上真希”にしか出来ないし、“村上真希”だからこそできることなので、職人側からも協力したいと心を動かせるんだと思います!期待しています!!


:ありがとうございます!!職人さんの最高な応援団長で、そして最強な味方でいたいと思っています!その前に、私は職人さんたちに恋してますので♡私の方からグイグイ近づいていってますけどね>▽< 素敵なお話と、ステキなアドバイス本当にありがとうございました!!


:こちらこそです!!応援していますっ 日本伝統産業女優 村上真希頑張れ!!


:はいっ!!オタク村上頑張りますっ!!!!笑

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高田さんのてにぴったり。こののぎすがなければ、いままでの製品もこれからも生み出すことは出来ない!と言うほど大切なとても賢い相棒なんだそうです。

「伝女」が掘る!5つのQA

「伝女」=伝統工芸品・職人・町工場・手しごとをこよなく愛する女子、が聞きたい5つの質問をぶつけてみました。

【Q1.好きなお酒&好きな食べ物は?】

答え:富山県氷見市にあるセイズファームの白ワイン(ソーヴィニヨン・ブラン)と12月の寒ブリ

「好きなお酒…好き過ぎで難しい!!ですが、この組み合わせがもう、最強ですね!僕、夏はサーフィンをやるのでその時はシャンパーニュを浜辺で飲んで、読書をして、そしてまた波にのるのが好きなんですね。その際は調理器具一式を持って行き、富山野菜でのマリネやパスタそして、前の日から焼いたフォカッチャを持ってのんびりするのが至福の時ですね。」 

真:「おッッオサレェーーーーッ!!!!!」

【Q2.小学生の頃に憧れだった人物は?】

答え:映画『カリオストロの城』での“ルパン三世”(小学校低学年)

「『カリオストロの城』のルパン三世は、とにかく女性にとても優しかったんです。そしてチームで動くときの、仲間との距離感や間の取り方が、絶妙でとってもカッコ良かったんです!それをみて(あぁ…早く大人になりたいなぁ。。)って思ってましたね。ちなみに“不二子ちゃん”が好きでしたね!照笑」

【Q3.小学生の頃好きだった科目は?】

答え:美術

「僕、一人っ子だったので、自分の中のアイドル的存在は“母親”で、母親に喜んでもらうために勉強頑張ったりとか、良い点数取ったりとかいい作品を作ったりとか、とにかく褒めてもらいたかったんですね。「ものを作ることは、人を愛すること」そして、「人を愛するようにものを作る」です。」

【Q4.一生手元に置いておきたい“仕事道具”は?】

答え:ノギス(*ノギスとは…長さを精密に測定するためのものさしです。 外側・内側・深さ・段差などの測定ができます)

「僕はデザインや設計もしているので、例えば日本では古来から、親指から人差し指までを広げた長さを“1咫(あた)約18cm”と図る寸法がありまして、その1咫が大体日本人の手にしっくり来るご飯椀の大きさで、お汁の碗は、中指まで。とあるわけなんですね。そういった黄金比を具現に広げていくのがとても楽しいんです。そしてその人にあったものづくりに通ずるんですね。その為に、ノギスは絶対に手放せないんです。何よりも一番愛おしい存在ですね。

ちなみにこう見えてノギスって2万円以上するんですよね。一台目は18才の時で、当時は頑張ってアルバイトして“TKG(卵かけご飯)”ばかり食べて節約して購入した思い出ありますね。笑」

【Q5:好きな映画は?】

答え:スターウォーズ

「スターウォーズは絶対ですね!好きなところは、親子の関係性ですね。自分と重ね合わせて役に入り込んで見ていましたね。どっぷり。ちなみに先日、ルーカスフィルムさんとタカタレムノスのコラボでアイスクリームスプーンを製造して、ついこないだ出荷したんですよ。」

真:「大人気の“15.0%アイスクリームスプーン”ですね!素晴らしい!!」

おわりに〜伝女 村上真希のつぶやき

高田副社長は、とてもロマンチックで女子の心をつかむ商品を開発されるのが、とっても上手なんだなぁ~と思いました。

伝統工芸品を製作されている工場で、“トキメキ”や“わくわく”という言葉を何度も繰り返し聞けたことは、オタクの私からするととっても嬉しくて胸が一杯になりました。

錫と漆器で出来たアクセサリースタンドや、今や有名過ぎで高岡で作られているとは思っても居ない人も居るであろうハーゲンダッツ公認の『タカタレムノス 15.0% アイスクリームスプーン』など、まさか“伝統産業”である鋳物で作られているとは・・・と、伝統産業女優としては自慢気になってしまう素敵な商品ばかりでした。

高田さんの商品のストーリーは興味深く、そして職人さんの昔と現在のお話などもとても魅力的で、低落傾向にあると言われている伝統産業業界では有りますが、まだまだ元気でそして色んなことに積極的に挑戦して、結果を出している工場もたくさんあるんだぞ!!と勇気づけられました。これからまた出てくる高田製作所さんの物語の込められた新商品を、いちファンとして楽しみにしています!!

◆余談◆

しかし、高田社長のプライベートのお話もかなりのロマンチックなエピソードばかりで、ほんと本気で映画化したい!!と思いました・・・企画書書いてみようかなぁ。。。ぶつぶつ。。笑

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型に燃えながら流し込まれる鉄。美しいですね。