こんにちは。てならい堂スタッフのみやです。

残すところ、早いもので今年も残りわずかとなりました。紅葉が美しいこの季節。てならい堂では、11月23日の勤労感謝の日に、【貼り子でつくる卯(うさぎ)の干支飾りワークショップ】を開催しました。

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今回、講師をしてくださったのは、岩手県花巻市にある小田島民芸所の関 恵子さんです。

花巻市には、「忍び駒」や「獅鹿踊り」、「黄金牛」など昔から愛される民芸品があります。小田島民芸所はそんな郷土で愛される民芸品を手仕事で制作されている郷土民芸品店。関 恵子さんのご両親が始められ、それを継承されています。どれも心のこもった民芸品ばかり。初めてこの場所を訪れたとき、どこか懐かしくて優しい民芸品に、心惹かれるものがありました。

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そして関さんにお願いをして、このワークショップのために、遠くの花巻市から来ていただき今回このワークショップが実現しました。

来年の干支である卯(うさぎ)の干支飾りを作りの始まりです。

ワークショップ開催日は、生憎の雨でしたが、ご参加くださった皆さんは、時間通りに朝の9時に集合。張り子の工程を一から体験しました。通常、張子をつくる工程は、乾燥工程を数日かけて効率的に作っていきますが、今回は、参加者の皆さんに張子を身近に感じて欲しいという想いで、講師の関さんが工夫をしてくださり、1日で全ての工程を体験できるプログラムとなりました。

まず参加くださった皆さんにワークショップに参加したきっかけを伺いました。「張子は一生のうちに、一回はやっておきたかった。」という方や、「来年の干支が自分の干支なので、これは参加しないと!と思って参加した。」という声がありました。また、お子様と親子でご参加くださった方もいらっしゃいました。

さっそく体験に入ります。

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各工程の見本。

張子は原型に水張り、中張り、和紙張りと3素材の異なる紙を貼っていきます。紙は部位毎に貼る大きさが異なるので、それぞれの大きさに整えるところから始まりました。中張り、和紙張りの紙は、張り合わせた時に段になりにくいように手でちぎります。その数は、何と273枚!皆さん、今回のワークショップは一味違うぞといった表情。

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必要な紙の枚数一覧。とても小さなパーツまで手でちぎるのはとても大変な作業でした。

枚数を聞くと、途方もないですが、一度ちぎり出すと各々、効率の良い方法を工夫されており、講師の関さんもそのことに気付いて欲しかったかのような表情でした。初めからちぎってある紙を貼り合わせるだけだと充実感がないですものね。笑

ここまでで1時間30分経過。1時間30分も黙々と紙をちぎる作業、今思い返すとなかなかハードです。紙の用意が出来たら、水張り作業の開始です。午前中までに、和紙張りをするところまで終えるスケジュールでしたので、ここから追い上げです。

原型に水張り→中張り→和紙張りと隙間なく全体に紙を貼っていきます。

原型に水張り→中張り→和紙張りと隙間なく全体に紙を貼っていきます。

和紙張りまで終えて、通常はここで1日程度乾燥の時間が必要なのですが、今回は、電子レンジを使って、乾燥させます。この時に原型から、張り合わせた紙が、熱で浮いてくる可能性があるので、関さんに見てもらいながら、少しずつ乾燥させていきます。

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ここまでが午前中の作業。少し時間が押しているので、皆さんにはお昼休憩を30分短縮して、作業を始めて頂きました。(スミマセンでした。。。)

午後からは、原型を取り出して、割れた切れ目にボンドで和紙張りをして、型の調整工程は終了です。ここからが、楽しい絵付けの時間です。★

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絵付けの様子。

皆さん、想い想いの絵付けをされていました。白うさぎをイメージされて、全体を白く塗り揃えてから、絵付け工程に入られる方や、和紙の風合いを残すためにそのまま絵付けをされる方など、個性のあるそれぞれの干支飾りに仕上げていきます。これだけ、手間隙をかけて作った干支ですから、きっと1年間、皆さんの生活の側で存在感を発揮してくれるはずです。

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今回、てならい堂のスタッフも一緒にワークショップに参加させていただいたのですが、自分で一から張子で作った干支飾りには、特別な愛着を持つことができました。参加者の皆さんは、絵付けで幸福を表現されたり、直接言葉を干支飾りに記したりと表現の仕方は、それぞれでしたが、制作者の意図が感じられるものでした。これから、「1年を共にする」。ただ飾るのではなく「共にする」。これまで、干支飾りは買って飾るものだと思っていましたが、自分で手を動かして一から作ってみると、なぜ干支飾りの文化が続いてきたのか、ということが、体感として分かりました。民芸品は、地域に根ざした人々の暮らしの中で生まれた背景があり、しっかりと背景まで含めた文化を繋いでいくことの大切さを実感しました。

完成した干支飾り。金の屏風は関さんが、皆さんのためにプレゼントしてくれました。

完成した干支飾り。金の屏風は関さんが、皆さんのためにプレゼントしてくれました。

講師をしてくださった関 恵子さん、そして関さんのご家族さま、朝早くから1日かけてご参加くださった参加者の皆さん、とても素敵で貴重な時間をありがとうございました!1日がかりの長時間のワークショップで、かなり体力と集中力が必要なワークショップでしたが、絵付けをされて完成した干支飾りを見ている皆さんの表情を見て、スタッフもとても嬉しい気持ちになりました。

講師の関さんもワークショップ後、少し疲れたご様子でしたが、充実された表情をされていたのが印象的でした。本当にありがとうございました。