こんにちは、てならい堂のかもです。

だんだん夏らしい気候になってきましたね。
少し前になってしまいますが、5月の終わりの2週間、ひみつの小店では中津箒さんの箒展を開催していました。(箒は引き続き小店でご覧いただけます。オンラインでもお買い求めいただけるようになりましたので、こちらからぜひどうぞ!→中津箒:大きい箒中津箒:小さい箒)

24日には箒づくりのワークショップも開催しましたので、その模様をお届けします。

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講師は中津箒の小林さん。中津箒をつくる「まちづくり山上さん」の本拠地は、かつてほうきの一大産地だった、神奈川県愛甲郡愛川町・中津。
量産、海外移転の流れの中で、一時は衰退していた中津箒を現代に復活させるため、原料となるホウキモロコシの栽培から箒づくりをしています。
今回のワークショップでも、もちろん自家製のホウキモロコシをお持ちいただきました!

はじめに流れを軽く説明してもらって、箒を束ねていく糸の色を選びます。
こちらの糸たちも中津箒さんで、藍や弁柄、箒にも使われているブドウの柄やホウキモロコシなどを使って染めた糸たち。
ほんとうに、1から10まで手づくりの箒なのです。

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ちなみに、濃い色の方が「粗」が目立つそう。なので、新米の職人さんたちはみんな最初は黒い糸で練習するそうです。
糸が決まった方から、小林さんに最初の「締め」をしてもらいます。最初と最後の締めがしっかりしていないと、せっかく作った箒が使ううちにバラバラになってしまうので、そこの作業は職人・小林さんの腕を借ります。

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慣れた手つきでするすると穂を束ねていく小林さん。手に技が染みこんでいる感じが伝わってきます。

さて、最初の締めが終わったらいよいよ各自、箒を編んでいきます!
糸巻を足で抑えながら、しっかりと引っ張りながら穂の茎(太い方)に糸を上下に渡して編み締めていきます。
作業としては、それを柄の部分の長さ分繰り返していくだけ…なのですが、毎ワークショップ恒例(?)の「見るのも聞くのもかんたん。でも、やってみるとこれが全然うまくいかない…!」作業です。笑

コツは大きく2点。1点めは、1回1回しっかりと糸を引っ張り、しっかりと締めていくこと。糸が引きちぎれるくらいがちょうどいいんだとか。けっこう力仕事です。。。
最初と最後は小林さんが締めてくれるので、バラバラになってしまうことはないですが、緩いと中間が太くなって樽型になってしまい、見た目もちょっと不格好になってしまいます。

2点めは網目の形。上下交互に糸をわたしていくのですが、そのとき網目が正方形になるのが綺麗でよい仕上がり。網目の間が短すぎず、長すぎず、正方形を目指します。…が、これも結構大変。最初は持ち手が短いのもあり、どうしても間延びした長方形になってしまいます。「正方形…正方形が難しい…!」とみなさん苦戦しておられました。
「だんだん持ち手が安定してくるので、真ん中あたりから急にみなさん上達しますよ。」と小林さん。

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作業をしながら、ホウキモロコシの栽培や収穫のこと、職人になったきっかけなどさまざまなお話をしていただきました。また、参加者の方で他の職人さんにお会いしたことがある方がいらっしゃり、その職人さんのエピソードで盛り上がる場面も。

さて、中盤まで進んだあたりで小林さんから「紋を入れたい人はいますか?」との問いかけ。
よく見るとお店の箒にもちょこちょこ「紋」が。この「紋」は高級な箒の証として入れられるそうで、古くは「紋」が入っていることが高級箒のステータスだったのだとか(とはいえ、なにか機関でチェックがなされている、というわけではないそうです。)。

真ん中の十字のお花のようなところが「紋」です。

真ん中の十字のお花のようなところが「紋」です。

せっかくなので、高級「紋」入れてみちゃいましょう!ということで、「紋」の入れ方のレクチャーをしてもらいます。上下に渡してきていた糸を今度は紋の部分だけ渡して、あとはぐるぐると巻いていきます。紋の形はシンプルなのですが、ぐるぐる回していると「あれ、いま私はどこをやっているんだろう…」と混乱してしまう方もちらほら。小林さんに道案内をしてもらいながら、無事紋も入れ終わり、ラストスパートです。

十分な長さまで編みきったら、最後は小林さんに締めてもらい、仕上げをしてもらいます。仕上げは、はみ出した余分な部分を切り落とし、柄の上部分を斜めにカットしてもらって完成です!

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切り揃えに使われていた包丁もとてもいい雰囲気。大きさも使い勝手もとても良いそうですが、もう職人さんが作っておらず、入手できないんだそう。刃を研ぎながら大事に使っているとのことですが、師匠のものなどは長年研いできた影響で真ん中から三日月形になっている(!)んだとか。

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完成した箒をならべてみると、4者4様で個性ある仕上がりに。糸の色でもずいぶん雰囲気が変わりますが、締め方も形や網目などの表情に現れてきます。

ワークショップ中も、お店の箒を例にしていろいろ聞かせてもらったのですが、実際作る過程を見てみると、1本作り上げる大変さや仕上がりの綺麗さへの実感が湧いて、前とはだいぶ違って見えてきました。
箒づくりのことはもちろん、中津箒さんで働く人たちのことも感じられた、楽しい時間でした。

小林さん、参加者の皆さん、ありがとうございました!

箒展は終了してしまいましたが、ひみつの小店では引き続き中津箒をお買い求めいただけます。
タネから1本1本丁寧に編みこまれて作られた箒たち、ぜひ見に来てみてくださいね。

また、遠方の方にはオンラインでお買い求めいただけるようにもなりましたので、こちらからぜひどうぞ。
中津箒(小さい箒:ななめ小箒・洋服用箒・筒型小箒・コーヒーミル専用箒)
中津箒(大きい箒:長柄箒・手箒・トモエ箒・ミニ手箒・荒神箒)