「みんなの金継ぎ」今日は「割れ」の3回目の工程のお話を。

糊漆で接着後約3週間の乾燥、その後下地の調整をしてさらに1週間乾かしました。

今日は下地の調整をして黒呂色漆を使っての中塗り作業です。割れの作業も3回目。「下地の作業の丁寧さが仕上がりに影響しますよ!」とアマノさん。

器を傷つけないように注意しながら、はみ出している錆漆を彫刻刀で削って平らにしていきます。また細かいところは水をつけながら耐水ペーパーを使って慎重に。繊細な接着面がラインとなって見えてきたら、次は黒呂色漆(くろろいろうるし)を使ってこのライン上を薄く均一に塗っていきます。

今日使用するのは生漆ではなく黒呂色漆。黒呂色漆は生漆を精製して、鉄分を入れて化学反応させて黒くした漆です。「呂色」と名前がとついているのは、漆塗の仕上げで磨いて仕上げる「呂色(蝋色)仕上」をするための漆で、油が入っていないことを意味しています。漆塗でもよく使用する漆です。

そして、今日は蒔絵筆(まきえふで)に黒呂色漆をつけて、ラインをかいていきます。

この蒔絵筆、昔はクマネズミの毛を使用していたそうですが、現在ではクマネズミがいなくなってしまったため、猫の毛でできているそう。筆に腰がありとてもしなやかで、繕い師さんにとっては、細部までいきわたる繊細さがよいのだそうです。

使い慣れない私たちにはまだ難しいので、ちょっとここで絵柄をなぞる蒔き絵筆の練習を。本来はゆっくり回しなながらラインを描いていくそうですが、初心者はまっすぐなラインを引くのでもガタガタしてしまいます。大分慣れたころにいざ、本番。

なんとか見栄えのするラインを引いて本日の作業は完成です。

漆風呂に入れて一週間また乾かしますよ!ここでのポイントはとにかく漆を薄く均一の厚みで塗ること。筆には最低限の漆をつけ筆はゆっくりと動かすことです。多くつけすぎると、表面の漆だけが乾き、漆が縮む原因になります。

次回は「割れ」の最後工程「粉を蒔く」です。お楽しみに!

みなさんも金継ぎの基本、いっしょに探しませんか?

 

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先週「錆び」を付けて細い欠けを埋めたもの

先週「錆び」を付けて細い欠けを埋めたもの

耐水ペーパーで研いでいきます。

耐水ペーパーで研いでいきます。


こんなに綺麗におちました。

こんなに綺麗におちました。

蒔絵筆登場。

蒔絵筆登場。


黒呂色漆で割れた箇所にラインを引いていきます。

黒呂色漆で割れた箇所にラインを引いていきます。

蒔絵筆はとても柔らかいので筆の練習を先に。

蒔絵筆はとても柔らかいので筆の練習を先に。