こんにちは。てならい堂スタッフの松本です。

第7回目の今日は、教室最終回。私は「最終回」という言葉の響きに弱いのか、なんだかソワソワしてしまいます。(私だけでしょうか。。)

4ヶ月の間で暑かった夏が終わり、季節の移ろいと共に生徒さんの金継ぎ技術もどんどん上がって、また新しい挑戦へと進んでいく姿を見守らせていただけたことがとても光栄です!

さて、今日の作業工程は、最終仕上げの「研ぎ・胴ずり・磨き上げ」です。

まずは、粉を固めた上を、スポンジやすりで段階的に乾研ぎしていきます。ライトに当てて、キラッと光るところは山のトップ。「山」の形状に粉を蒔いた箇所を例えると分かりやすいですね!この山をどのように研ぐときれいな金属粉が現れてくれるのか。それが今日の作業ポイントでもあります。

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先生曰く、漆の層を被っている今の器の状態を100%とすると、0〜60%くらいを荒さの異なるスポンジやすりで徐々に研ぎ出し、その後60〜80%をコンパウンドで磨き上げていくイメージで進めると良いそう。いきなり100%を目指すと、必ず研ぎ破ってしまう(下地が見えてしまう)ので、段階を踏んで少しずつ確認しながら作業を進めることが大切なんだそう。蒔絵は使っているうちに手艶で少しずつ色や艶が上がってくるので、それを見越して仕上がりを85%くらいであえて止めておくのもあり。“出来上がりが一番美しい”のではなく、経年と共に美しさが増していく「金継ぎ」ならではの良さがあります。焦りは禁物ですね…!

【割れ編・欠け編の工程】粉固めをした器をスポンジやすりで研ぎ、コンパウンドで磨く。ブローチも研ぎ出し磨く。

1200番の荒めのスポンジやすりから1500番のやすりを使い、段階的に研いでいきます。

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山の際を研ぐことからはじめます。器物の内側をスポンジの端を少し当てる程度で研ぎ始めます。すんなりと綺麗に研げたなぁ、と思うところは、下塗りが上手に出来ている証拠!山の頂上は研ぎ破りやすいので最後に軽く研ぐイメージです。

糸底は、磨きにコンパウンドを使うと白く入り込んでしまうので、鯛牙(たいき)を使って仕上げる=「鯛牙仕上げ」をします。生徒さんがメノウを持っていると聞いて、「それも使えますよ!」と道具の話も交えて仕上げを進めていきました。

手が入りづらいところや目立ちづらい所の仕上げに使います。

鯛牙は手が入りづらいところや目立ちづらい所の仕上げに使います。

金属粉が少しキラッとした頃合いを先生に確認して、次のコンパウンドで磨く作業に入ります。

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出ている金属を光らせるための磨き粉なので、あまり研ぎ破りは心配しなくて良いと先生から教わって、安心しつつもどのくらい強く磨いて良いだろうか、力の加減が難しいのが生徒さんから伝わってきます。。

磨いては拭き…を繰り返すことでツヤを上げていきます。

磨いては拭き…を繰り返すことでツヤを上げていきます。

指に少量のコンパウンド取り、刷り込むように伸ばしてペーパーで拭き上げながら、輝きを確認しつつ仕上げた作品がついに完成!!

4ヶ月かけて丁寧に作業を進めて完成した、生徒さんの作品をお披露目します!

▼こちらは錫粉仕上げ。

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▼こちらは金粉と朱漆の仕上げ。

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そして、同じく磨いて真っ白なツヤのある卵殻のブローチも完成しましたよ。

漆黒の中に、卵殻の白が美しいです!

漆黒の中に、卵殻の白が際立って美しいです!

ブローチの仕上げまで辿り着けなかった方もいましたが、継続して加飾に取り組んでくださるので、教室としては最終回ですが完成まで見守り続けたいと思います。

今回の教室では、初めての方と継続的に通ってくださっている生徒さん同士、教え合う姿や金継ぎに便利な道具の情報交換など、教室ならではの交流が生まれ楽しみに通ってくださる様子を見ることが出来てとても嬉しく感じています。皆さんそれぞれの生活の中で続けていくことは、簡単なことではないかもしれません。それでも、「金継ぎを初めてみて良かった」、「次は以前割ってしまったあの器を直したい!」など、そんなお声をいただけて、「捨てずに取っておいて良かったなぁ」と思える未来につながっているのではないかな。と思います。

てならい堂の秋のテーマでもある「捨てない生活」。これから金継ぎに出会う方にも、割れや欠けてしまった器を“捨てずに”さらに愛着のあるものへと直して使う技術を身につけて心良い生活に繋がればと願っています!

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