こんにちは。てならい堂スタッフの伊勢です。

私は物を買う時じっくり選びたいタイプなんですが、ずーっとインターネットで探して探して、悩んで買えない、なんて事が結構あります。色んなレビューや画像を見て、結局どれが良いか選べきれないんです。それは人の判断軸ではやっぱり自分が納得して買えないから。自分で何が良いかモノを実際に見て、作っている工房も見れて、さらにはつくり手さん本人から話を聞ける。そんな買い物が出来たら大満足でモノを手に入れることができるのではないでしょうか。

ネットで気軽にものが手に入るけど、てならい堂では、あえて時間をかけてモノを手に入れる、「とりにいく」というお買い物方法をお勧めしてます。「とりにいく」はモノをネットで買って、到着するのを待つのでは無く、つくり手さんの工房へ行って購入するお買い物方法です。

6月は父の日特別DAYとして18日に「工房を訪れて、つくり手に会って、父の日ギフトを手に入れる体験。」を開催しました。

父を連れ出して山梨の工房へ傘とネクタイを取りに行ってきましたよ。

山梨、富士吉田は織物の産地としても有名ですよね。平安時代では布で税を納めていたほど織物が盛んだったそうです。今回はまず、傘生地専門の機屋「舟久保織物」さんへ。午後に行くネクタイの「羽田忠織物」さんはこちらから。

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説明してくれているのはつくり手の舟久保勝さん

舟久保さんは、もう2軒しかない”ほぐし織”の機屋さんの1軒。しかも傘生地で捺染から織りまで手がけるのは舟久保さんだけ。ほぐし織独特の滲みや発色の美しさにはため息が出ちゃうほどです。

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しつこく質問する私。真剣に織り機を見てる父。何を聞いても丁寧に笑顔で説明してくれた舟久保さん。

工房では使用する糸の太さ話から(普段どんな太さの糸で織物が織られてるかなんて考えたことなかった。舟久保さんの生地は基本極細糸だそう。)織り機の話、ほぐし織の歴史の話まで、とっても丁寧にわかりやすく教えてくれました。織り機は自動は自動ですが、糸がなくなったら補充したり詰まりやすい織は詰まらないように手を入れてたり、と常に見てあげてなくてはいけないんだそうです。1本の反物が出来上がるまでには舟久保さんの愛情がたくさん詰まってるんです。

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紋紙の説明してくれて、ほーっとなってる私達親子

これはジャガード織の織り機。紋紙は織物をどう織るかが入っているデータ。紋紙一枚に糸数千本の情報が入っていて、それを織り機が読み込み10cm程織るのに400枚以上の紋紙が必要。。。織物って作るの手間かかるんだな。。。

舟久保さんは傘織物屋さんなので、普通の織物屋と違うのは常に雨、防水のことを考えて織る、ジャガード織もどう織ったら雨が漏れて来ないかを考えながら新しい生地を考えるんだそうです。確かに、傘生地ならではですよね。てならい堂の店舗でも展示がある「ネクタイ傘」はまさに、そのジャガード織の傘。

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ジャガード織のネクタイ傘

ちなみに今回私はこれを買いに行ったんですが、事前に傘を見ていて裏表で柄が違うのも素敵だし、高級感もあってプレゼントにぴったり!と思ってるだけでした。この裏表でデザインが違うのも実は小さい四角の部分は生地として弱くなるから雨漏れしないように裏で補強しているんだそう。その補強がストライプ柄になってるんですって。ただの柄としての役割だけじゃなく機能的にも考えられたデザインだったんですよ。これは工房に来ないと聞けない話だな、とちょっと感動しました。

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親子三世代で舟久保さんの話に聞き入ってる図。

もうすぐ2歳になる息子も連れて行ったんですが、場所見知りもするし泣くかなーと思いきや全然大丈夫でした。大きな織り機の音がしても平気で、舟久保さんも優しいし息子も連れて行けて良かったな。普段では見れない場所なので、息子の良い刺激になれば嬉しい。

工房で話を聞いた後は商品が並ぶお部屋へ!

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父の日特別DAYだったので父にはブックカバーづくりワークショップも体験してもらいました。ほぐし織のハギレ(贅沢!)を選んで舟久保さんのお奥さんに手伝ってもらいながら頑張って作っている私の父と、舟久保さんの素敵な傘を見漁る私、母。もうほんとに素敵な傘がたくさん並んでるんですよ。もう作って無いやつもあったり、WEBには無い商品のラインナップなんで掘り出し物だらけで探す楽しさがありますね。

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購入した傘は無事北海道の義父に送りました!

モノにはつくり手さんの人柄がよく表れてるなーとつくづく思います。舟久保さんはおおらかで丁寧。そして作ることをとっても楽しんでいました。工房で説明を聞いている時も常にどうしたらもっと素敵な織物ができるか、「こうしたら面白いよね。」と新しい生地のアイディアを考えていて、染めも自分の工房で出来るからこその挑戦とひらめきにに溢れていました。傘ひとつひとつに素敵なコンセプトやお話があって、もっと聞きたい、また会いたいな、と思える素敵なつくり手さんです。

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舟久保さん、次は自分の傘を買いにまた会いに行きます!ありがとうございました!

ネクタイの工房「羽田忠織物」さんへ行ったお話はこちらから。