こんにちは、てならい堂スタッフの小野寺です。ここのところ秋晴れが多く、青い空と紅葉のコントラストについつい見とれてしまう日々です。そんな爽やかな11月の土曜日。てならい堂では、「自分で染めるお買い物袋」の体験を東京・上落合の染の里おちあいにて開催いたしました。

唐突ですが、皆さんが今お使いになっているそのエコバッグ…気に入っていらっしゃいますか?色や柄には満足されていますか?自分好みのエコバッグがあれば欲しいなと思いますが、なかなか理想通りのものには出会わないですよね。それならば…もう、自分で作ってしまいましょう!

今回の体験は、染料をつけた刷毛を引いて着物の反物を染めていく「引染め」の方法で袋の生地を染めます。染めた後は一枚の布を簡単に縫い合わせて袋状にしますが、それを「あずま袋」と呼ぶそうです。折り畳みやすく持ち運びに便利ですので、お出かけのお供にピッタリですね。

まずは各自、お好きな地の色を選んで染めていきます。
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蒸すと更に鮮やかな色に変化するそうなので、そういった点も考慮する必要があります。皆で色見本を囲みながら「私は鮮やかな色がいいな」「濃い色でいこうかな」など少し考えた後、「青」「赤」「紫」「茶色」と次々に決断。

さあ、それでは地の色を染め始めましょう。工房では、すでにまっ白な綿麻素材の反物が綺麗に張られています。

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刷毛に染料を含ませ、右から左へ染めていきます。まずは職人さんのお手本を拝見するのですが、これがかなりのスピード勝負!

「刷毛は垂直に立てます」「上下にジグザグさせて三往復すると刷毛がかすれてくるのでそこでまた染料をつけます」「生地は水平にしましょう」「最初は染料が多く含まれているので濃くなりやすいです」「乾くとどんどんムラになりやすくなるので手早く進めましょう」「最後はムラにならないように全体を馴染ませましょう」

…私が覚えているだけでも、これだけの注意点がありました。職人さんは、更にこれ以上のことを同時に気を配りながら、手早く正確に染めていくのです。これは緊張してなかなか始められないな…と私が怖気づいている瞬間にも、参加者の皆さまはどんどん刷毛を動かし始めました。なんとも潔い!そして、とても綺麗な色です!

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1人分40cm×120cmの地の色を染め終えたら、次は柄の色を決めます。

袋として使う場合、柄はポイント的に置くよりもまんべんなく散らすほうがおすすめだそうです。格子・ドット・唐草・幾何学模様など何でもお好みで。配置や大きさを規則的にするか不規則にするかでも大きく違いが出ますね。また、柄の線の描き方は一気にではなく、少しずつ引くのがポイントです。

「ふふふ、写経をしている気分です。」「最初よりだんだんコツが掴めてきました。」

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まっ白だった一枚の反物が、こんなにカラフルな布に変身しました。今回は4名様の参加でしたが、格子にドットに葉っぱにひし形、見事にそれぞれの個性が光っていますね。

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染め終わり、皆さまようやくひと息。最初は「濃くなり過ぎた」と言っていた地の色が、時間が経ち乾いてくると意外に良い塩梅だったり。気になっていた柄の滲みがだんだんと良く見えてきたり。他の人の作品を褒めたり、褒めてもらうことで自分では気づいていなかった良さに気づいたり…。計算通りにいく気持ちよさもありますが、予想外の良さに気づけた時の喜びってありますよね。まさに怪我の功名でしょうか。

今回の体験はここで終了です。洗いと乾燥後の最終的な完成を見届けることはできませんでしたが、どのような色の変化で皆さまのお手元に届くのかがとても楽しみですね。そして綺麗な色のあずま袋は、これからの寒い季節に街でもよく映えそうです。

染の里おちあいの皆さま、参加者の皆さま、ありがとうございました!

また、今回の体験にご興味のある方には、和裁教室もお勧めです。初心者向けのふきんを作るツヅクキモノの和裁教室 ~初めての運針~ や、上級者向けの着物を作るコース和裁教室上級編。自分でつくるキモノ。どちらも少人数での開催ですので、気になった方はお早めのお申し込みをお待ちしております。