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「漢字」とは、中国の漢民族の間でつくられた文字ですが、現存する最古の漢字は、紀元前15世紀頃なのだそう。とても長い歴史をもった文字なんですね。漢字の左は部首、右はつくりと呼ばれます

文字とおり、漢字には語源や由来があり、意味があるわけですが、糸偏(いとへん)の漢字にはなぜか、「てならい」「てしごと」といったニュアンスを感じます。

糸というものはおそらく、暮らしになくてはならないものだったのだろうと思います。

そして、その糸から、例えば糸電話のように、誰かと誰かをつなぐような、そんな意味を持つ漢字が生まれていったのではないかと。

糸偏(いとへん)の漢字を少し連想してみてください。

結 むすぶ、つながる。つくりは吉ですから、幸せの暗示ですね。つながるには、人の手によるたゆまぬ努力が必要になりそうです。

紡 つむぐ。繊維をより合わせて糸にすることですね。より合わせるには、ひとつの方向に向かう、その目指す先が同じであることが大切なように思います。大切に、手間ひま掛けて、といったニュアンスもありそうです。

縫 ぬう。糸で縫い合わせる作業ですね。代表的な手仕事と言えそうです。

絆 きずな。つくりの半は攀(ハン)から来ていて、すがる、たよるという意味があるそうです。つながるための見えない糸があるような。

終 おわり。なるほど、冬で終わるんですね。でもそこには、脈々と受け継がれてきた営みが根底にはありそうです。

他にも、織、編、縁、続…。

あ、きっとお気づきの方もいますね。「続」は、この「にっぽん てならい堂」の運営会社の名前です。つくりは「売る」ですが(笑)、じつは、漢字の糸偏(いとへん)にこだわりがあります。

これらの糸偏(いとへん)の漢字には、人の手を介したような、あるいは気持ちを込めて自らの手を使って作り上げるような、そんな種類のあたたかみを感じるのです。

きっと、誰もが大切にしたいものが、この糸偏(いとへん)に詰まってる。

チクチク、トントン、カンカン…。どんな音が合う「てならい」か分かりませんが、未来の自分に種まきをするために、小さな「てならい」を始めてみませんか。

 

文 / 増村江利子
国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経て現在はフリーランスエディター、ライター。一児の母。主なテーマは、暮らし、子育て、食、地域、エネルギー。暮らしの工作家。毎日を、ちょっぴり丁寧に暮らしたいと思っています。