こんにちは。てならい堂スタッフのしいです。

桜が美しい季節ですね。開花のピークが過ぎた地域やこれから迎える地域、いろいろあるのかなと思います。花見に行こうと思う日に限って雨だったり寒かったりするのは、どうしてなんでしょうか。今週末こそは!

春めいた暖かな風が吹きつつも、まだまだ寒さが残る3月の終わりに、空気の澄んだ成田市松崎で包丁作りワークショップが開催されました。

教えて頂いた方は、正次郎鋏刃物工芸の石塚祥二朗さんです。日本刀製造から裁ち鋏作りの歴史の流れを汲み、高度な技術を持つ石塚さんから、伝統的な「火造り」手法による包丁作りを教えてもらいました。

今回、参加された皆さんが作った包丁がこちら。

今回、参加された皆さんが作った包丁がこちら。

包丁を作る時に大切なことは、どんなカタチが良いかイメージすることだそうです。

最初に、持ち手となる柄の部分をどれにするか、それぞれの特徴や違いを聞きながら選ぶところからスタートしました。

それから全体のカタチをどうするか、見本を見たり実際に触ったりして確認していきます。刃を長くしたり、逆に短かめにして幅を広げたりすることもできます。

柄の位置を高めにすることもでき、そういった違いによって使い勝手がどう変わってくるのか等の話を聞いて、皆さんとっても悩まれている様子。

今回作る包丁は、ペティナイフくらいの大きさ。奥様の利恵さんは普段からこの包丁を使っているそうで、使い勝手などの質問に応えて頂いたり、実際に切っている様子を見せてもらったりしました。

どんな包丁が良いか、イメージを膨らませるのも楽しい時間ですね。

どんな包丁が良いか、イメージを膨らませるのも楽しい時間ですね。

その後は、包丁を日々使い続けるために必要な「研ぎ方」を教えてもらいます。

刃物を研ぐ時に必要な道具の代表格が砥石。天然の砥石もあれば人造砥石もあり、荒く削れる砥石からきめ細やかな砥石まで、段階によって使い分けるのが一般的な砥石の使われ方。ご自宅で研ぐ場合はこうすれば良いという話や、良い砥石に出会える方法など、面白くて参考になりました。

早速、参加者の方が持参された包丁を、石塚さんに研いでもらいました。出てきた質問に応えて頂きながら、実演を見せてもらいます。

既に研ぎの経験は積まれて来た方も、自分の研ぎ方が良いかどうか石塚さんに確認頂いたりと、お一人ずつ動作を見てもらうことで、新たな気付きにつながる時間となりました。

砥石に対する刃の向きに、「なるほど!そうだったんだ」の声が。

砥石に対する刃の向きに、「なるほど!そうだったんだ」の声が。

これから作る鉄の包丁で、気を付けるべきはサビの発生を防ぐこと。包丁を保管しておく方法に、身近なものを使ってできる素敵なアイデアがあります。それがこちらの、新聞紙で作る鞘です。

この鞘は、刃が突き出ることなくすっぽりと収まるよう工夫されています。この折り方もレクチャー頂きました。

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午後からは、お待ちかねの包丁作りの開始です。

コークス炉を温めている間、包丁の元となる細長い棒が配られました。刃物の土台となる地金に、刃となる鋼がしっかりと鍛接されたものです。

この作業も石塚さんが行っています。少しでも空気が入ると接合不良が生じるため、多くの包丁作りの製造現場では、ここまでやっているところは殆どありません。

お一人ずつに配られた鉄の棒。叩く位置を確認しています。

お一人ずつに配られた鉄の棒。叩く位置を確認しています。

まずは、石塚さんの叩き方を見せてもらいます。カンカンカンと響くリズミカルな音と共に、あっという間に包丁らしいカタチが現れてきました。

地金、鋼それぞれに特徴があり、伸びる方向も広がり方も違うことや、叩く頃合いは熱してどのくらい温まった後でどんな色になっている時かなど、これから作る包丁作りに欠かせない技を教えてもらいます。

叩く位置、向き、角度などを実演で見せてもらいます。

叩く位置、向き、角度などを実演で見せてもらいます。

作業開始。地金の棒を差し込み、温めていきます。火花がパチパチと出るほど温め過ぎてもいけないし、温まっていない状態で叩くのも良くないのだとか。見極めのタイミングを見計らいます。

お一人ずつ、ゴーグルと手袋を付けて臨みます。

お一人ずつ、ゴーグルと手袋を付けて臨みます。

炉は2つあるので、同時に2人の方が作業を行いました。石塚さん、片方の方の作業を見ている間、もう片方の方の作業はカンカンと響く音を聞き、耳で見ていたそうです。すごい!

良い音が響いています。

良い音が響いています。

形が出てきたら、次に行うのは切り離す作業。共の柄か、別の素材の柄を付けるかで切る位置が違うので、石塚さんに最適な位置を教えてもらい、共同作業で叩き切っていきます。

包丁のアゴを出し、切り出す作業。

包丁のアゴを出し、切り出す作業。

切り離した後の包丁です。この後、持ち手となる柄の部分の、カタチを整える作業を行います。

右の3つが共の柄の包丁。

右の3つが共の柄の包丁。

布袋竹の柄を選んだ場合は、差し込むために先を細くする作業があったり、共の柄の場合は握りやすいカーブを作るなどの作業を行います。皆さん最後まで良い音が出ていたと、石塚さんがおっしゃっていました。

共の柄の場合、握りやすいカタチにするコツを教えてもらいます。

共の柄の場合、握りやすいカタチにするコツを教えてもらいます。

最後に、包丁作りに欠かせない「焼入れ」という作業があるのですが、初めての場合だとタイミングが難しい為、見学だけさせてもらうことに。

これで、1日に及ぶワークショップが終了しました。この後石塚さんの方で、焼き入れや研ぎ、名入れを施して頂き完成です。

石塚さんには、代々受け継がれてきた火造りの技術を、後世に残していきたいという想いがあるといいます。こうした体験を経て興味を持ってくれた方が、またやりたいと思った時に教え続けていけるような仕組みをつくりたいと。

そして、そういった方の中から正次郎鋏刃物工芸を共に盛り上げてくれる方が現れてくれたら、と。

ずっと使い続けたいと思える素敵な包丁は、作り続けてくれている作り手さんがいるからこそ、手に入れることができるのだなと改めて感じた1日でもありました。

参加してくださった皆さん、そして石塚さん、利恵さん、どうもありがとうございました!