生活道具を自給自足。FLAGS SHINKIBAとのコラボテーマです。

FLAGS拠点のひとつ、新木場の木工ショップKUKUNOKI

FLAGS拠点のひとつ、新木場の木工ショップKUKUNOKI

新木場はかつて東京の木の流通の拠点として栄えた町。

今は流通の形態も変わり、かつての活気は望むべくも無いのが現状、、とは言え、まだまだ多くの材木屋さんが軒を並べています。

この新木場のKUKUNOKIという名の木工ショップを拠点に活動する「FLAGS SHINKIBA」は、職人やクリエイターなど、自分の「旗」を掲げる全ての人が、情報発信し交流できるターミナルとして、ディレクターの北川健太さん(若干30歳)を中心に、毎週の様にさまざまなイベントや企画を実施するプロジェクト。

そのFLAGS SHINKIBAさんが実施するワークショップのテーマは、ズバリ「日々是創造 ~生活道具を自給自足しよう~」。

うん、ズバリです。

工場でつくられるもの、職人の手仕事でつくられるもの、自分でつくるもの、それぞれに違った意味合いがあって、一概にどれが良いとか悪いとか言えるものではないですよね。

ただ、生活道具を自分で作るとなると、「私は自分で作る派です!」という人であっても、結構なハードルがそこにはあります。

通常は踏み込まない職人の領域にあえて踏み込むことで、当然これまでの暮らしには存在してなかった、全く違うストーリーを持った生活道具を、手にしてもらえることと思います。

あるいはこの体験を通して、身の回りにある道具に刻まれた職人の仕事の深さを知り、その道具たちがまた、違った輝きを放ち始める、、、

さらにさらに、あなた自身がその先で職人になってしまったり、、、ということも無いなんて、誰にも言えませんよ。

まあ、職人になるかはともかく、日々の生活に必要なものを自分なりに作っていくという、新しい取り組み。

そして、ハードルの高い取り組みだからこそ、そこはプロの職人に教えを請うて。

職人と一緒に始める日々の生活道具の自給自足、それがこの「日々是創造」のコンセプトです。

フィンランドのパワーギフト「Kuksa」を
モチーフにしたマグカップ作り。

送られた人が幸せになるという言い伝えのある、あのククサ

送られた人が幸せになるという言い伝えのある、あのククサ

今回のワークショップで作るのは「木のマグカップ」。

まだまだ削りがいありますぜ。

まだまだ削りがいありますぜ。

モチーフは、北欧フィンランドに伝わるKuksa(ククサ)という、白樺のコブからひとつひとつ削りだして作られる伝統的なマグカップ。

本場では、出産祝いなどによく贈られるもので、使う人の幸せを願い、職人がひとつひとつ丁寧に削って作られるため、贈られた人は幸せになると言い伝えられるパワーギフトです。

幸せを待つひとびと。

幸せを待つひとびと。

子供のミルクやスープから、コーヒーにブランデー、ホットワインなど、成長に応じて入れるものを変えながら、自然とつながる器として、長く永く、生活に寄り添っているそうです。

そして今回、この木のマグカップ作りを教えてくれるのは、木工/家具職人の寺沢克己さん。

アウトドアも大好きな寺沢さんは、元々はフィンランドの遊牧民族サーメ人が常に腰から下げていたこのKuksaを、木の器や木工職人の仕事を紹介する入り口として、扱いはじめました。

今日ばかりは、同じ志を持つ仲間ですから。

今日ばかりは、同じ志を持つ仲間ですから。

本場のKuksaを忠実に再現することよりも、決して手軽で簡単ではない手製のマグカップを、せっかくだから長く普段使いにしてもらおうと、手に入りやすいブナの木を使ったり、食器用の安全な塗料を塗ることで長持ちさせるなど、日本ならではのアレンジを加えて作っています。

ある程度の下処理はされていますが、それでも丸の木から削り出す作業となりますので、電動工具を始めとするあらゆる工具を揃えて尚、丸一日かかるという、まさに一日木工キャンプ。

お昼もキャンプっぽく、炭火で焼いたホットドッグを頬張って、また作業!

なんかこれ、美味しそうですけど、まあまあストイックですな。

なお、みなさんに作業していただくのは、今回は削ってヤスリをかけてもらうところまで。

その後、職人・寺沢さんの方で日常使いできるよう、食器用の安全な塗料を塗って、仕上げてもらいます。

塗料を乾かして、塗り重ねる時間がかかりますので、完成品のお届けまでは3週間ほど。

待つのもまた、自然と向き合う様なことですから、ゆったりとお待ちくださいね。

ひたすらに生活の道具を作るという、とある週末の過ごし方。

そして仕上がりはこんな感じ。思い思いに。巧拙もありつつ。

そして仕上がりはこんな感じ。思い思いに。巧拙もありつつ。

木目にしろ、削り出した形にしろ、そもそもが一点ものにしか絶対になり得ない、表情豊かなマグカップですが、それだけの自分の時間が足し合わされて、自分の生活の道具としても、フィンランド人の伝統に倣って贈り物にしたとしても、使うたびに豊かな物語の匂いを醸してくれるのは間違いありません。

かつては日本全国、世界各地から運ばれた木材を受け入れる玄関口として栄えた新木場の町は、必然、海に面した絶好のロケーション。

会場となるKUKUNOKIは東京ゲートブリッジを真正面に臨み、木の香りに包まれた、開放的で本当に素敵な空間なんです。

天気の良い日は、穏やかな海を見ながら、思考の波も真っ平らになっていく様な感覚で、、、やがて、大きなあくびが出るでしょう。(笑)

いやいや、それは何も無い日の話で、今回はあくびなんてしている余裕はありません。

自分の生活道具を自給自足するという旗を掲げ、太平洋に向かって一日木屑まみれで木を削る、後々まで引きずる様な日曜日はいかがでしょうか。

海へ。モノづくりの海へ。

海へ。モノづくりの海へ。