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こんにちは。てならい堂スタッフのみやです。

桜が見ごろを迎える季節となりました。

てならい堂では、3月26日に【つづら藤かずらで作るかご作りワークショップ〜採取から編み立てまで〜】を開催しました。

今回は、福岡県の香春町の「かずら工房 あかつき」さんにお伺いしました。今回、講師をしてくださったのは、もともとお酒の卸売業をされていた矢野 文子さん。

楽しんでかごを編まれている矢野さん。

楽しんでかごを編まれている矢野さん。

矢野さんは2004年頃、嵐の後に山から流れてくる屑かずらの束を見て、何かに利用できないものかと思い、自宅倉庫に持ち帰られたそう。

引っ張りや曲げに強く、しなやかなかずらの特性を利用して編み籠を作ってみたところ、作品を見た旦那様が大喜び!褒めてくれたのがきっかけで、20年間かごを編んでいらっしゃいます。

教室になったのはここ3年ほどのことで、香春町地域おこし協力隊の小野沢さんが工房に来て、情報を発信されたことで今は定期的に人が集まる地域のイベントごとになっています。

正面のお花がかわいらしい「かずら工房 あかつき」さん。

正面のお花がかわいらしい「かずら工房 あかつき」さん。

日常使いする「かご」。かごにも色々な素材のものがありますが、今回は「つづら藤」という蔓の、収穫からかご編みまでを体験する趣旨でワークショップを企画。

実際に自生しているつづら藤を採るところから始めて、かごの素材から編み立てまでを学ぶ企画でしたが、変わりやすい山の天気。雨が続き、ワークショップ当日は、蔓の収穫は残念ながら行えず、次回開催への持ち越しとなってしまいましたが、その分、かご編みに時間をかけることができました。

皆さん一生懸命にかごを制作中。

皆さん一生懸命にかごを制作中。

かずらというのは、蔓植物の総称で今回のワークショップタイトルの「つづら藤かずら」は、「つづら藤」のかずらという意味です。かずらで橋が作られるほど丈夫な素材です。

「つづら藤」。蔓の生命力が溢れています。蔓は、かごを作る2日前から水に浸して曲げやすいようにしておきます。

「つづら藤」。蔓の生命力が溢れています。蔓は、かごを作る2日前から水に浸して曲げやすいようにしておきます。

「つづら藤」は自生している時は緑色ですが、収穫してしばらくすると茶色に変わります。それがまた情緒があって自然の植物を使っているという面白さですよね。

もともと軽いのですが 水分が完全に抜ける2年目からは、ますます軽くなります。 そして とても丈夫ぶつけても、投げても、壊れる素材ではありません。天然素材は強いですね。

大切に使っても、そうでなくても、数十年は耐用年数があるので、お子さまや、お孫さままで引き継いでいくことのできる貴重なものです。

「つづら藤」が自生している場所。自然の恵みを感じますね。

「つづら藤」が自生している場所。自然の恵みを感じますね。

午前中は、事前に講師の矢野さんに準備していただいていた蔓を使って、皆さんで同じ形のかごを作り、午後からはそれぞれでお好きな形のかごを作ることに。

蔓は、節が少なく芯がしっかりした太めのものを選び、60cmにカットしたものを6本、その半分の30cmにカットしたものを1本、巻き始め用の細めの蔓を準備します。

まず、かごの底の中心となる部分から蔓を巻き始める作業を行うのですが、この工程こそが、かごを作るうえでの重要なポイントになるので、まずは矢野さんに教えていただきながら、かご作りがスタートしました。

まずは、先生のお手本から。

まずは、先生のお手本から。

60cmの芯となる蔓を3本、30cmの蔓を1本並べ、その上に60cmの蔓をそれぞれが中心になるように直角に置きます。その蔓を片手で固定しながら、もう片方の手で細い蔓を取り、中心を取りながら巻き進めます。

力のいる作業ですが、ここが一番大切!手は抜けません。

力のいる作業ですが、ここが一番大切!手は抜けません。

矢野さん曰く、「始めが上手くいけば、後は、いっちょうぼし(交互になるように)に編んでいけば良い」とのことですが、蔓を編むのは力のいる作業で、先生のようにテンポよく編み進めることは難しく時間がかかります。

蔓は長いもので10mほどになり、つなぎ目は最後にハサミでカットし繋ぎ目の処理が、かごの内側に来るように編んでいきます。繋いでいく蔓は、出来るだけ同じ直径の蔓であること、そして似た色の蔓であればあるほど、綺麗なかごに仕上がります。

とはいえ、自然な色ですので、自然な濃淡があれば、それもそれで風合いのある表情が楽しめます!底の土台が出来てくれば、かごを立ち上げる部分まで編み進めて、徐々に編み立てを進めていきます。

だんだんと、かごの形に近づいてきました。

だんだんと、かごの形に近づいてきました。

立ち上げの際には、急激に立ち上げるよりも徐々に立ち上げた方が、自然な丸みを帯びたかごに仕上がります。

そして、自分が作りたいかごの高さまで編めたら口元の処理をします。口の処理は1本取りでシンプルなものや、2本取りでボリュームを持たせる方法など技法はいくつかあり、はじめは1本取りで仕上げていきました。その後、持ち手を付ける蔓を用意し、左右に取り付けて螺旋状に巻いて完成です。

かごの口部分。丸みを作ると、かわいらしい形に。

かごの口部分。丸みを作ると、かわいらしい形に。

矢野さんと、教室の生徒の皆さんにもご協力いただき、午前中には皆さん1個のかごを作り終えることが出来ました!

お昼は、香春町の地元の方々や、矢野さんの教室に通われている生徒のみなさん、矢野さんのご家族が中心となってお昼の準備をして下さり、おいしい田川の郷土料理をいただきました。

地元の皆さんがご用意してくださった心のこもったお食事。

地元の皆さんがご用意してくださった心のこもったお食事。

朝採りたての筍、山菜の揚げたての天ぷら、お吸い物、漬物、山菜のお浸しなどお料理はどれも美味しく、地域の皆さんと食卓を囲みながらいただく食事は、現地開催ならではのかけがえのない、ほっこりとする時間となりました。

みなさま、本当にありがとうございました。

午後からの体験は、皆それぞれが作りたい形を先生に教えてもらうことのできる内容に変更し、午前中に作ったかごを今度は、はじめから自分自身で作ってみる方もいらっしゃれば、平たいかごを作られている方がいたり、それぞれに個性がでていました。やはり2回目の方が編むスピードが上がり、矢野さんも参加者の皆さんの一生懸命な姿に感心されるほどでした。

こんなに大きなものまで!いろいろと挑戦するのは楽しいですね。

こんなに大きなものまで!いろいろと挑戦するのは楽しいですね。

自由に思い思いの形に仕上げていきます。

自由に思い思いの形に仕上げていきます。

最後には、皆さんが作られた合計16個のかごを並べてみることに。形も大きさもそれぞれ違って、様々なシーンをイメージされて作られていることが分かりました。

今回、参加者の中には、ベビーフォトを普段撮影されている方がいて、撮影小物としてかごを使うことがよくあるとのこと。それを自分で作れたら良いなと思いご参加くださったそうです。

さまざまなかごが出来上がりました!これから長く使っていただけますように。

さまざまなかごが出来上がりました!これから長く使っていただけますように。

自然の素材でかごを作っていくので、頭で思い描いている形にするのは至難の技で、蔓の個性を生かしながらその都度考えて編んでいく、蔓の個性に逆らわず編み立てていく方が綺麗なかごに仕上がりやすいことが分かりました。

矢野さんは先生として教室を開かれていますが、上下関係を付けて指導する教え方ではなく、「一緒になってああやないこうやないて、言い合うのがいいんじゃない。

それで楽しくって輪ができていく。」という気持ちで教えていらっしゃいます。その人柄に惹かれて、教室開催の度に地域の皆さんが教室のテーブル準備、お昼の支度などを、進んで手伝われています。

完成したかごは、長く大切に使っていきたいものですね。

完成したかごは、長く大切に使っていきたいものですね。

今回は、かご作りの体験でしたが、かご作りを通して、手仕事の良さや人と人とのつながりを感じることが出来ました。良い作品が出来るか出来ないかではなく、作品に向き合う姿勢や自然への感謝の気持ちが最も大事なことであると気づかせてくれます。

また開催できることを楽しみに、皆さんとお会いできる日を楽しみにしております。

この度、お世話になった香春町の皆さん、ご参加くださった皆さん、遠方から来てくださった方も、本当にありがとうございました