こんにちは。

てならい堂スタッフの五十嵐です。

1月中旬、新たな年のはじまりに、てならい堂の定期コース「しっかり金継ぎ」教室の1回目が開催されました。これから金継ぎへの道をともに歩んでいくみなさんと、ようやくお会いできた初回の様子をご紹介します!

 

本日教えてくれるのは松本真奈先生。講師としてはもちろん、漆芸作家としても活躍されています。(松本先生の作品はこちらでもご紹介していますよ)

まずはこれから約4か月間、教室のお仲間となる6名のみなさんの自己紹介からはじまりました。

お話ししてもらったのは、参加しようと思ったきっかけや、金継ぎをする器のエピソードなど。

工房を巡るほど器が大好き
使い捨てをやめたい
本漆を使った伝統的な技法の金継ぎを学びたい
自由な時間ができたので、思い切って
経営するカフェで使う器を金継ぎで直したい

きっかけはさまざまですが、共感できることが多く、うん、うん、とみなさん深く頷いていましたね。もうちょっとお話ししていたいなーと思うほど、ほんわかとした温かい自己紹介タイムでした。

そして最後は、松本先生の自己紹介! 学生時代から積み重ねてきた漆芸の研究のこと、螺鈿や蒔絵の技法を用いたご自身の作品についてなど、第一線で活躍する先生の貴重なお話が聞けましたよ。

気持ちも高まってきたところで、いよいよ「しっかり金継ぎ」教室のスタートです!

 

1回目の教室では、大きく分けて、漆を知る・器を見る・器を整える、の3点を中心に学びます。ざっくりとしたことばで表してしまいましたが、本日の工程は、今後の作業にも影響する、とても大事な部分です。

まずは漆を知ることから。

金継ぎ、という文字から「金」をイメージしがちですが、器の割れや欠けをつなぎ支えるのは、冒頭からなんども登場している「漆」です。

そこであらためて、漆とはなにか、主要な産地、漆の扱い方など、一つひとつ先生から丁寧に教わります。

漆を知る

そして、漆といえば日本三大漆器のひとつでもある「輪島塗」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

「能登半島地震で被災され、日々の生活もままならない職人の方々に、また漆の仕事がしたい、戻りたいと思ってもらえるよう、私たちが広くみなさんに伝え、つないでいかなければならないと思います」

という松本先生の言葉が、静かに心に響きました。

 

続いて、器をよく見てみましょう。

修理をする器は、割れのあるものと欠けのあるものの2種類です。

この日、みなさんに用意してもらった二つの器を、はじめて先生と一緒に確認しました。器の状態をしっかりと把握し、これからどのように直していくかを決めていきます。

みなさん、生まれ変わった器の姿が想像できたでしょうか?

けっして短くはない道のりですが、それだけじっくりと直す過程を楽しめますよ!

 

最後は道具を使って器を整えます。

いよいよ、ここから手しごとのはじまりですね!

やすりで丁寧に断面の角を削っていきます

やすりで丁寧に断面の角を削っていきます

まずは「割れ」のある器。

はじめに、器が汚れないよう、器の高台などにマスキングテープやラップを使って保護していきます。

次に、破片の断面の角を丁寧に削る作業に入ります。割れの修理とは、破片と本体とを漆で接着させるということ。断面の角が削られることで、接着部分に溝ができ、漆がしっかりと入るのだそうです。

角を削るときに使用したのは、電動タイプのやすりと手動の金やすり。断面の状態をみながら使い分け、丁寧に削っていきました。

電動のやすりで丁寧に削ります。慎重に、慎重に……

電動のやすりで丁寧に削ります。慎重に、慎重に……

加減を見極めるのは難しいものですが、先生にしっかりとチェックしてもらい、漆を迎える準備が整いました。

割れの作業はここまでで終了です!

 

次は「欠け」の器を整えます。

これは本日のメインイベントといってもよいのではないでしょうか。

そう、「漆」とのご対面です!

金継ぎにおいて、漆はもっとも重要な材料。でも、直接触れるとかぶれてしまうという特性ゆえ、ビニール手袋が必須です。なんだか緊張しますね。でもこのドキドキ感は、危険な匂いはするけれど、どうにも魅かれてしまう! という感覚(個人の感想です……)と似ているでしょうか。

ガラス板に絞りだされたつやつやの漆。

ガラス板に絞りだされたつやつやの漆。

先生がガラス板に生漆を絞りだした瞬間、みなさんの「うわぁ!」という心の声が聞こえたような気がしました。

漆にはテレピン油を混ぜ、ヘラでよく練ります。これを欠けた部分に筆で塗り、下地を作っていきます。

漆と油を混ぜて練る先生の手元にくぎ付けのみなさん。

漆と油を混ぜて練る先生の手元にくぎ付けのみなさん。

塗った部分をしばらく乾かし、余分な漆をウエス(布)で拭き取って、欠けの作業も完了です!

拭き取りすぎ?付いてます?と確認しながら漆を拭きました。

拭き取りすぎ?付いてます?と確認しながら漆を拭きました。

割れ、欠け、ともに次回以降の準備が整いました。

マスキングテープ、ラップでしっかり養生しました。

マスキングテープ、ラップでしっかり養生しました。


割れ、欠け、ともに下準備の完了です!

割れ、欠け、ともに下準備の完了です!

初回からたくさんの道具を使いましたね。この道具の扱いについても、大事なことを教わります。

漆を塗るのに使用した筆は、油(教室ではキャノーラ油)で洗います。また、漆を練るときに使用したガラス板は、テレピン油をたらして拭き取りました。

みなさん、初回からテキパキと作業を進めていましたね。これから長いお付き合いとなる道具についても、少しずつ知識を深めていきましょう!

次回の教室では、割れをくっつける作業と、欠けを埋めるペースト作りです。もうくっつくの!?と思われるかもしれませんが、大丈夫です。そんなに簡単にはくっつきません。(笑)

これから約4か月、しっかり、じっくり楽しんでいきましょう。

みなさま、どうぞよろしくお願いします!