【てならい後記】初めてのしっかり金継ぎ教室。2023秋~1回目~
こんにちは。
てならい堂スタッフ山下です。
金木犀の甘い香りが街中に漂うようになりました。秋も深まり過ごしやすい季節ですね。
まだ暑さの残る9月中ごろ、しっかり金継ぎ教室の2023秋がスタートしました。
こちら、毎回てならい堂で大人気のコースです◎
教えてくださるのは、てならい堂の金継ぎの監修をしてくださったアマノ先生、そして前シーズンから加わってくださった松本先生のお2人です。
今回は松本先生のクラスをご紹介していきますね。
松本先生はてならい堂での金継ぎ講師や修理にも携わられている一方で、ご自身で漆芸作品も創作されています。今回は第1回目ということで、せっかくなら実物をお持ちした方が参加者さんも漆芸のイメージがつきやすいのでは、と教室に持ってきてくれました!
しっかり金継ぎ教室は全部で8回の開催。
1回目の今回は、
・はじめましてということで、皆さんでの簡単な自己紹介タイム
・金継ぎに欠かせない素材《漆》についての解説
・今後の工程のための土台づくり
をメインに行いました。
まずは自己紹介タイムから。
てならい堂では、各WSの冒頭で自己紹介を兼ね、皆さんに参加されたきっかけをお聞きしています。
器が好きでこれからも大切にしていきたいとの想いから参加された方
お母さまから金継ぎを教えてもらい興味をもたれたという就活中の学生さん
奥さまお気に入りの器を直すためという愛妻家の方
独学で金継ぎをされていましたが、改めて学ぶことにしたという方
皆さんそれぞれの想いが伝わり、自ずとその場の空気感も温かいものに変わっていくような感覚でした。
ここからはいよいよ金継ぎについて学んでいきましょう。
実際に手を動かすまえに、まずは金継ぎについてのお話から。
金継ぎというと、字面から何となく《金》をイメージする方も多いかもしれません。(個人的に私はそうでした◎)
ただ実際の作業でとくに活躍する素材は、《漆》なんです。
そのためこの日のお話は《漆》のことをメインに展開されました。
漆、と聞いて皆さんはどんなことを想像されますか?
ことば自体は身近でも、意外と詳しいことを耳にする機会はそれほど多くはないかもしれません。
そもそも漆とはなにか?
どこで採れるもの?
日本産と中国産の違い
性質や扱い方について
漆工芸や職人さんについて
日本各地の漆工芸の特色
などなど。紙芝居形式で多岐にわたり紹介してもらいました。
漆との距離も縮まったところで、次は手を動かしていきましょう。
教室で学ぶのは、「割れ」と「欠け」の2種類についてです。
さあいよいよ作業かなと思いきや、まず器の状態を観察しましょう、と松本先生。
どう修理していこうかイメージすることも大切なのだそうです◎
ここからは「割れ」と「欠け」で工程が分かれていきますよ。
まずは「割れ」から。
松本先生の教室では、まず割れた断面の角を丸くしていくところからスタートしました。
こうすることで、のちに断面同士を接着するときに漆が入りやすくなるのだそうです。
また、断面でガタガタしているところがあればそこも形を整えていきます。
皆さんには、電動タイプのものと手動の金やすりの両方を交代で体験してもらいました。
ひととおり整えたところで、次は養生に入っていきましょう。
漆はザラザラとしたところが大好きなのだそう。そのため高台など漆がついてほしくない部分にマスキングテープやラップで予め保護していきます。
「割れ」の作業はここまでとなります。
お次は「欠け」について。
ここでいよいよ!漆の登場です。
この日は生漆にテレピン油を混ぜたものを、次回作業の下地として塗っていきました。
こちらをヘラで練っていきます。
では、器に塗っていきましょう!
塗り終えたら、10分ほど乾かしておきます。
待っている間に片付けも済ませてしまいましょう!
漆の特性から、金継ぎで使う道具の扱い方には特徴があります。
てならい堂ではこのあたりも先生からしっかりと学ぶことができますよ。
まずは筆を洗っていきましょう。教室ではキャノーラ油を使います。
そろそろ10分経つ頃になりました。
先ほど下地として塗った部分を、ウエスで拭き取っていきます。
せっかく塗ったところなのにとおやっ?と思ってしまうかもしれないですね。
今回は器に漆を浸透させることが目的なので、拭いてしまって大丈夫なようです◎
今日の作業はここまでです。
次回は、割れの部分をくっつけたり、欠けの部分を埋めていく作業に入っていきますよ。
これからおよそ4ヶ月間、皆さまどうぞよろしくお願いいたします!