こんにちは。てならい堂スタッフの丸山です。

まだ心地よいくらいの暑さだった5月のある日、てならい堂のスタッフで藍染め体験をしてきました。藍について学んで、染め上がったものを見て感じたことは、やっぱり藍っていいよね、です。

 今回は各々で染めたいものを持ち込んで染める、いわゆる染め直しをさせてもらいました。自分が使っていたものがガラッと生まれ変わる感覚は、新しいものを買ったときの感覚とも違う、なんとも言えないときめきがあります。

場所は、染めのワークショップでいつもお世話になっている新宿の工房”染の里おちあい”さん。職人の小川さんが藍の歴史や特徴を、詳細に、わかりやすく教えていただきました。

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わかりやすく教えてくれた小川さん。キャップからスニーカーまで藍で染めた、オール藍コーディネート。元の色や素材によって藍色の出方が違うので、全部藍でもくど過ぎず、おしゃれです。ぜひみなさんもワンポイントで藍色を。

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染の里おちあいさんで育った藍の葉を乾燥させて染料にします。夏はたくさんの藍が、みなさんをお出迎え。

てならい堂でもさまざまな藍染め体験を開催してきました。
毎年夏に体験できる生葉染めは、葉を摘んでから約40分で染めます。期間も、葉が生い茂る6月から9月までの約3ヶ月間限定です。まさに生ものの藍染めですね。

3,4日干した藍の葉で染める乾燥葉の藍染めもあります。こちらは季節を問わず染めることができますね。そして、ジーンズなど僕たちが1番見ている藍の色は、インディゴピュアで染めるものです。手軽に安価で使えるように開発されたケミカルな藍で、約1ヶ月使える溶液だそうです。

今回は乾燥葉とインディゴピュアを使って染めてみました。

今日染めるのは、スタッフで持ち寄ったタンクトップ、トートバッグ、マスクなどなど。輪ゴムや箸を使い、絞り染めで模様を付けます。

こちらはインディゴピュア。ティッシュを入れて、空気に触れさせると緑色からみるみる藍色に変化します。

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乾燥葉を煮て染料づくり。80度で煮出た一番煎じは使わず、二番煎じを60度で煮出して使います。

草木染め約100種類の中で唯一、青に染められる染料が藍。綿や絹などの天然繊維100%の生地と相性がよく、綺麗に染まります。

解熱剤として中国から伝来してから、平安時代までは高貴な色とされ、庶民の間で広まったのは江戸時代。絹を着られない江戸時代には、藍で染めた綿や麻を着ていました。消臭、抗菌、防虫効果があるので、日常生活で大活躍!かなり理にかなってますよね。

藍は、植えてから3ヶ月くらいで染められるくらいに育つそう。案外早い。この手間がかかりすぎない成長ペースも、染め屋や庶民には心強かったのかなと想像しました。

そして、新宿「染の里おちあい」さんは、今年で創業102年。活版印刷や紙、インキの製造が盛んな飯田橋。明治時代に神田川が汚染され、染め屋さんは神田周辺から、上流の新宿に引っ越してきたという歴史があるそうです。新宿の地場産業の中核として、染めに関わる様々な活動もしていらっしゃいます。

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絞りで使った輪ゴムや箸を取りながら、水でささっと洗っていきます。おちあいさんのお庭で一足早い夏を感じながら。気持ちいい!

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染め上がったものをお庭で乾かします。何気なく使っていたものが世界にひとつの大切なものに。

「参加してくれるみなさんはもちろん、染め屋の僕たちもわくわくする体験をもっともっと増やしていきたいね。」藍色に染め上がったものを見ながら、小川さんがお話してくださりました。

てならい堂ではこれからも、様々な”染め”にまつわるワークショップを開催していきます。みなさんの手に入れ方が変わるような、続けていきたいことがちゃんと続くような、そんな体験をしてもらえるように。