【てならい後記】園芸店に教わる、「はじめての園芸“店”ワークショップ」。7月&8月
こんにちは。てならい堂スタッフの丸山です。
毎月1回の園芸”店”ワークショップ。7月と8月は、場所をqivacoからてならい堂のひみつの小店に移して行いました。園芸”店”ワークショップinひみつの小店、夏の合併号です。
7月は”草花の管理”について。茂った苗をいくつか使って、剪定作業を行いました。 そして8月は、”病気と虫と肥料”について。病気や虫、薬品や肥料のことは、見て見ぬふりをしたくなるし、だからこそ知らないことが多いですよね。今回もqivacoの店主みのりさんに、じっくり教えてもらいました。
まず前提として、なぜ切るのか?僕はぼんやりと、栄養を元気なところに集中させるためだと思っていました。正解は、頂芽優勢(ちょうがゆうせい)を利用して植物の発達を促進させるため、だそうです。頂芽優勢とは、茎や枝の頂部にある芽(頂芽)が下位の芽(側芽)よりも発育がいいこと。
これは植物の特性、植物ホルモンの働きで成り立っています。例えば、オーキシンというホルモンは、自分は伸びて他の成長を抑える働きを持ち、頂芽で多く生成されます。また、せっかく細胞分裂を促進するサイトカイニンは、オーキシンによって合成が抑制されるそう。
そんな植物自身の特性を最大限に活用し、”切る管理”で側芽(脇芽)を頂芽にし続けていくんですね。しっかり根拠があるところも園芸のおもしろいところです。
重要かつハードルが高く感じる”切る管理”。目的や季節によって、摘心、切り戻し、刈り込みという3種類に分けられます。葉が増えた苗を使って、実際に切っていきます。
まずは、白い花を咲かせるペチュニアで”摘心”。多くの花を咲かせたり、ボリュームを増やすために芽の先端を摘み取り、脇の芽を伸ばすことで枝数を増やします。それによって、咲く花も多くなります。他の芽が元気に伸びるために今ある芽を切る。あとは任せた!と出立ての芽に未来を託す感覚でした。切る芽を見極めるのが大変なので、大事なのは苗全体の最終形を想像しながら切っていくこと。
次は、河原なでしこの”切り戻し”を行いました。切り戻しは、咲き終わった花を再び咲かせる作業。咲き終わった枝を切除し、脇芽を育てて再び開花させます。こちらは咲き終わりの花を切りますが、脇芽を育てたいのは同じ。この植物をどうしたいのか、最終どういう形にしたいのか、自分の意思によってどこを切るかを変えます。
そして”刈り込み”は、切り戻しと同じく再び花を咲かせる作業。こちらも脇芽を育てるために行いますが、全体が一斉に咲く花に適する方法です。なので、花壇や植え込みの管理に適しています。
ハサミを入れるために葉の様子を見たり、小さい芽を探したり。今回のように、至近距離で植物を見て、触れたことがないことに気づきました。
そして8月は、”病気と虫と肥料”です。この回は、資料の枚数が1番多い、ボリュームたっぷりの座学回。普段馴染みのないテーマだったこともあり、植物が病気になるメカニズムや害虫の種類などの基礎から教えてもらいました。
ここでのキーワードとして出てきたのが、IPM(総合的病害虫防除)という考え方です。難しそうですが、利用できる技術を組み合わせて、有害な虫や病気から植物や農作物を守るということ。園芸でいうと例えば、繁殖に相性の良い植物”コンパニオンプランツ”(マリーゴールドやトマトなど)を近くに植えてみたり、害虫の天敵となるてんとう虫や蜘蛛を取り入れたり。
おうちですぐできそうなことだと、根元ががっしりした健全な苗や種を選んで買ってみたり、害虫の発生源となる花がらや落ち葉をこまめに取ったり。当たり前のことを当たり前にやってあげるってことですね。耳が痛い、、
そのIPMの利用できる”技術”の中には農薬や肥料も含まれます。IPMを実践すれば、農薬や肥料を最適に使い、リスクも最小限に抑えられる。おうちで農薬を使う場合は、病気に合わせるのではなく、植物に合わせて選ぶのが良いそうです。
大切にしている植物にハサミを入れるのって、すごく勇気がいるけど、ワークショップから帰った後は、躊躇せず切れるようになりました。草花が自分で育っていくことを上手にサポートする。特にこの2回のワークショップには、そんな共通したテーマがあるように思いました。