こんにちは。てならい堂スタッフの山下です。

まだまだ日中の暑さは残るものの、だんだんに秋の気配を感じられるようになってきましたね。
夕暮れがはやくなってきたり、夜には虫の声が聴こえてきたり。
朝晩はすこしづつ過ごしやすくなってきたような気も・・?
小さい秋をみつけつつ、9月の残暑も乗りきっていきたいなあと思うこの頃です◎

さて、てならい堂では、真夏のとある一日に【夏休みに!】と題して”本革”がまぐちワークショップを開催しました。今年の年初めにも開催し、みなさんに楽しんでいただいたワークショップです◎

午前中に手のひらサイズの小さながまぐちを、午後には両手にすっぽりおさまる大きいがまぐちを作るという、同日での開催となりました。
これからそのときの模様をお届けしていきます!

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会場となった、千葉市美浜区のショップ兼工房の前にて。外観からも、種類豊富な革小物が並んでいることがわかります!

今回もがまぐちづくりを教えてくださるのは、千葉市にある中川守和匠店の中川さんと、スタッフの北川さん。中川さんは、がまぐちを作りつづけて50年!の職人さん。関東のがまぐち文化を築いてきた第一人者の方でもあります。

個人的に、今回はてならい堂神楽坂ストアをとびだして初めてのワークショップ、
またお2人にお会いするのも初めてということで、朝からドキドキとしておりました・・
でも工房に到着して迎えてくださったお2人のとっても柔らかく温かい雰囲気に、すぐ緊張が解けていきました!

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一歩足を踏み入れると、まず皮革の香りにふわっと包まれました。そしてずらりとならんだ数々の革小物が目に飛び込んできます!

工房には、普段から中川さんや北川さんが使われている本物の道具や機械がそろっていて迫力満点でした。大掛かりな機械が揃っているのもこちらの工房の特色だそうです◎

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さて、ここからはまず大まかに作業をご紹介していきますね。
下記のとおり午前中も午後も、ポイントとなる流れは共通するところが多かったです。

表になる本革と裏地選び▶︎本革と裏地の接着▶︎口金との接合▶︎紙紐の入れ込み

このように工程自体はとてもシンプルですよね◎ 
ちなみに最後に登場する”紙紐”に、・・・?と意外に思われた方は、このあとご紹介していきますのでどうぞお楽しみにしてくださいね◎(私は今回初めて知りました!)

作業途中には今回のワークショップの醍醐味ともいえるパートもありながら、最後には皆さん素敵に仕上げられていましたよ。
では、それぞれの作業の様子をご紹介していきます。

工房にて、オーバーオールと帽子がおしゃれな中川さん

◉本革と裏地選び

選んでいるときが一番楽しいんだよなあ、と中川さん◎
色も柄も種類豊富!どれにしようかと嬉しい悩みですね ♪  皆さんとっても楽しそうに選ばれていました。

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午前の部では、口金も2種類のなかからお選びいただきました◎

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◉本革と裏地の接着

午前の部では、両面テープを使っての貼り付け作業。貼り付けのコツもレクチャーいただきながら作業をすすめます。

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午後は工程が増え、本革と裏地それぞれをミシンで縫製したうえで、両者をゴム糊で貼りあわせるというもの。ミシンは、本格的な工業用と比較的扱いやすい職業用の2種類あり、それぞれお好みで選んでいただきました◎家庭用ミシンとは扱いもちがうものの、お2人のサポートにより皆さんしっかりと縫製されていました!

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こちらは工業用ミシン。思いのほか静かな音が印象的でした。カタカタと、心地よくリズミカルな音が工房に響きます。

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ゴム糊を塗っていきます。貼り合わせてもまた剥がせるタイプなので、ここは安心して作業できますね◎

◉口金との接合、紙紐の入れ込み

先ほど接着した生地を、口金部分に差し込んでいく作業です。一度練習をしてみてから、本番は接着剤をつけてしっかりとくっつけていきます。
そのあとには、差し込んだ部分に紙紐を入れ込んでいくという作業も。こうすることで接合したところが外れにくくなるのだそうです。

このパートはそれぞれ微妙な力加減が求められて、今回のワークショップにおけるハイライトといえると思います!
ただ、中川さんや北川さんがその都度そばで気さくに相談にのられていたので、少々難しい場面でしたが皆さん楽しまれている様子が伝わってきましたよ◎ 

こちらの”ハメゴテ”という道具を使って、差し込んでいきます。

こちらの”ハメゴテ”という道具を使って、差し込んでいきます。

紙紐、このような形で入れていきます。こういうことだったのですね! ちなみに個人的な後日談ですが、私物がまぐちをのぞいてみたところ、紙紐やはり入っていました!何だか嬉しくなってしまいました◎

紙紐、このような形で入れていきます。こういうことだったのですね!ちなみに個人的な後日談ですが、私物がまぐちをのぞいてみたところ、紙紐やはり入っていました◎何だか嬉しくなってしまいました♪

最後の工程まで終えられたあと、がまぐちがパチンと閉まらないというご質問があったのですが、
中川さんはすぐにピンときて解決されていました。そのスピード感!とてもかっこよかったです!

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出来上がったあとの皆さんの表情からは、清々しい達成感がとても伝わってきました!
また、

かわいいなぁ
がまぐちをみる目がかわっちゃうなぁ
(がまぐちを愛でながら)なに入れようかなぁ

といった参加者さんのコメントもとっても楽しげに聴こえていましたよ♪

午前中のこちらのご参加者さんは、カシメをつけられていました。デコレーションで印象が変わるのも魅了のひとつですね♪

午前中のこちらの参加者さんは、カシメをつけられていました。デコレーションで印象が変わるのも魅了のひとつですね♪

また、午前の部ではがまぐちに加えて、別にご用意された革生地へのデコレーションも楽しんでいただきました。こちらはキーホルダーにしてお持ち帰りいただきました♪

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電気ペンで文字やイラストを入れたり。お好みで自由にデコレーションしていただきました♪このほか、刻印のご用意もありましたよ◎

午後の部の皆さんのがまぐちも、とってもいい表情ですね◎ お口を開けて裏地がみえるポーズもとても可愛らしかったです!

午後の部の皆さんのがまぐちも、とってもいい表情ですね◎お口を開けて裏地がみえるポーズ、とても可愛らしいです!

中川さんがワークショップ中におっしゃっていた「簡単にいったら楽しくないもの」という言葉はなるほどこういうことだったのだなあと、最後に合点がいきました。

難しさを乗り越えたからこそ感じられる楽しさ、中川さんがどのようにがまぐち作りを続けてこられたのか、職人さんの心意気がこもった言葉に出会えた気持ちがしました。

また、ワークショップ中も終えられた後も、参加者さんとの交流をとても嬉しそうに楽しまれていた中川さん。ご自分の経験や知識を惜しみなく、活き活きとお伝えしていこうとされる姿もとても印象的でした。

職人さんと参加者さんがこうして一緒にものづくりの楽しさや想いを共有できるのも、ワークショップの醍醐味の一つだなあと改めて感じます◎

中川さん、北川さん、ご参加された皆さん、どうもありがとうございました!