こんにちは。てならい堂スタッフの小野寺です。
延期のため、前回の教室から1か月以上も経過してしまいました。その間に季節も春をすっ飛ばし、早くもじめじめと梅雨の気配がしていますね。

さてさて、これだけ間隔が空けば、皆さんの器もしっかりと乾燥しているはず!
3回目の教室では「埋め」の工程を仕上げていきます。
(前回までの記事はこちらから→1回目2回目)

まずは割れの接着部分から乾いてはみ出した糊漆を、彫刻刀で削り取ります。けっこう強めなガリガリとした音が教室に響きますね。「器が割れたら怖いので最初はサラサラやっていましたが、それだと全然取れなくて。」なるほど、けっこう力強く削る必要があるようです。

img_8078

欠けを埋めた部分は耐水ペーパーに水を含ませ、ヤスリがけをします。

夢中で削りやヤスリがけをするうちに、「あ、前回埋めたところがポロッと取れちゃいました。」「端が少し剥がれてしまいました!」と、少し焦るような場面もいくつかありました。私も一緒に「あららら、先生、どうしましょう…。」とオロオロするばかり。
しかし「ああ、私もたまにやっちゃうんですよね~。」「ここはカットして、次の錆で埋めていけば大丈夫です!」と、その都度、落ち着いた対応の梅澤先生。ピンチの時もすぐにサッと寄り添い、すぐに対処方法をおしえてくださる先生は本当に心強い!

img_8094

ここからは前回もつくった「刻苧」が再び登場して、おまけのタイルの接着面にある溝や、2mm以上の大きな欠けを再度埋めていきます。

img_8091

そして次は、砥の粉+水+生漆で作った「錆」で、隙間や小さな欠けを埋めます。割れの箇所にはヘラ先で隙間になすりつけるように擦り込み、欠けの箇所にはコーティング程度に。

img_8086-2

img_8095

あまりに細かい隙間なので「錆が入っていく感じがわからないです~。」とおっしゃる方も。「そこは私でもわからないところなんですが、繰り返すしかないんですよね。」「肉眼では見えにくいような小さな隙間をここで埋めておくことで、より滑らかな仕上がりになりますよ。」と先生。

錆で埋める隙間は小さすぎて実感が湧きづらく、一見地味な作業ではありますが、ものづくりでもお料理でもお化粧でも、こういったひと手間を端折らないことが良い出来栄えに繋がることは多いですね。
あるパティシエが「当たり前のことを積み重ねると特別になる」と言っていたことをふと思い出しました。

きっと今日の錆の作業で、より納得のいく金継ぎになること間違いなしです!

img_e8097

ここで今回はおしまいで、次回から「塗り」の工程に入り、金継ぎらしく(!?)筆を使う作業が始まります。どうぞお楽しみに。

ご興味のある方は、おうちでも本格的に楽しめる金継ぎキットも是非ご覧くださいね。