【てならい後記】深める金継ぎと深みにハマる蒔絵教室(割れ編・欠け編)22年7月期。第6回
こんにちは。てならい堂スタッフの松本です。
気温のアップダウンが激しいこの頃。本当に10月なの?と思う程、夏の日差しを感じる1日でした。
今日は前回粉を蒔いた後の器に、「粉固め」という作業を行います。
割れも欠けも漆と粉がしっかり固まっているか確認する作業からスタート。
冬場の窓ガラスのように「ハァ〜」と息を吹きかけて白っぽくなったら乾いた状態。粉は目立たないところを竹串でカリカリッと触って確認し、竹串に漆が付かない状態であればOK!
【割れ編・欠け編の工程】余分な粉を落とし、漆を粉の上に塗り重ねる「粉固め」をする。
基本的には粉固めの作業内容は、割れ・欠けどちらも同じ工程です。まずは、余分な粉を毛棒やペーパーで落としていきます。金粉の場合は、しっかり回収しましょう!この日はエアコンもつけていたのですが、金粉がフワッと飛ばないように風向に気をつけるなど環境の配慮も必要なのです…。
この下準備を終えたら、漆を塗り重ねていきます。
ところで、この「漆」には、同じ生漆・黒漆と言えど、その産地により乾き具合に違いがあるのをご存知でしょうか。私は金継ぎ教室のアテンドをするまで、色の違いがあるんだろうなぁ。くらいの知識しかありませんでした。。天然の漆を使用する、てならい堂の金継ぎ教室では、年間を通して教室を開催していますが、その時期に適した産地の漆を使う事で、乾き具合を調整したり漆が縮むことを防いだりできるんだとか!関東の漆は冬場の寒くて乾燥してるときに使うと乾きもはやく、逆に梅雨や夏場は北陸の漆を使ってゆっくり乾かすことで縮むのを防ぐといった具合に使い分けています。
漆の特性を教わり、早速粉固めの漆を薄〜く塗り重ねていきます。
集中してヒビと欠けの面に薄く塗り重ねる作業をされていた生徒さん。
「塗った漆をペーパーで押さえて余分な漆を取り均一な面にすると、本来は職人さんが筆で薄く均一に塗って仕上げるような、粉固めの作業と同じ状態に近づける事ができるんですよ。」と、行庵先生。
折角塗った漆が全部取れてしまうのでは?と私も心配になったのですが、毛細管現象で自然と漆が吸い込まれているので、その心配はいらないと安心させてくれました!漆が厚ければ、その分、次回研ぐ時に大変になってしまうそう。皮膜としての漆の効果は変わらないので大丈夫ですよ!と教えてくださいました。
ブローチの卵殻にも、次回の研ぎと磨きの作業をする前に漆を塗り重ねておきます。
上級者の生徒さんは、色々な技法にチャレンジされているのですが、今日もサラサラ〜っとフリーハンドで手板に描いていて、吸い込まれるように見てしまいました!
行庵先生のお宝から、これでも一部…を蒔絵に使わせてもらって、次々と生徒さんの作品が生み出されていくのが、毎回とても楽しみです。
次回はついに最終回!これまでの総仕上げです。どんな器とブローチに仕上がるのか、ワクワクしています♪