生活道具を自給自足。FLAGS SHINKIBAとのコラボテーマです。

FLAGS拠点のひとつ、新木場の木工ショップKUKUNOKI

FLAGS拠点のひとつ、新木場の木工ショップKUKUNOKI

てならい堂での紹介は二回目となる、FLAGS SHINKIBAさんのワークショップ「日々是創造」、改めてその趣旨を。

新木場はかつて東京の木の流通の拠点として栄えた町。

今は流通の形態も変わり、かつての活気は望むべくも無いのが現状、、とは言え、まだまだ多くの材木屋さんが軒を並べています。

この新木場のKUKUNOKIという名の木工ショップを拠点に活動する「FLAGS SHINKIBA」は、職人やクリエイターなど、自分の「旗」を掲げる全ての人が、情報発信し交流できるターミナルとして、ディレクターの北川健太さん(若干30歳)を中心に、毎週の様にさまざまなイベントや企画を実施するプロジェクト。

そのFLAGS SHINKIBAさんが実施するワークショップのテーマは、ズバリ「日々是創造 ~生活道具を自給自足しよう~」。

うん、ズバリです。

工場でつくられるもの、職人の手仕事でつくられるもの、自分でつくるもの、それぞれに違った意味合いがあって、一概にどれが良いとか悪いとか言えるものではないですよね。

ただ、生活道具を自分で作るとなると、「私は自分で作る派です!」という人であっても、結構なハードルがそこにはあります。

通常は踏み込まない職人の領域にあえて踏み込むことで、当然これまでの暮らしには存在してなかった、全く違うストーリーを持った生活道具を、手にしてもらえることと思います。

あるいはこの体験を通して、身の回りにある道具に刻まれた職人の仕事の深さを知り、その道具たちがまた、違った輝きを放ち始める、、、

さらにさらに、あなた自身がその先で職人になってしまったり、、、ということも無いなんて、誰にも言えませんよ。

まあ、職人になるかはともかく、日々の生活に必要なものを自分なりに作っていくという、新しい取り組み。

そして、ハードルの高い取り組みだからこそ、そこはプロの職人に教えを請うて。

職人と一緒に始める日々の生活道具の自給自足、それがこの「日々是創造」のコンセプトです。

「篆刻」。古代文字が呼び起こす印章への想いの記憶。

ハンコに込められた想いを

例えばこんなハンコ

例えばこんなハンコ

みなさん、「篆刻」好きですかー?

、、、知らない、かもしれませんね「篆刻」、私は初めてでした。

「篆書(てんしょ)を刻む(きざむ)」と書いて「篆刻」、一般的には、書や日本絵画に押されている刻印を指す様です。

見たことありますよね?

あの、掛け軸などに押された、高級感を醸す、朱色のハンコ、、あれですね。

篆書体を使うのが本来のものではありますが、篆書体には限らず、といって、手彫りの印鑑が何でも篆刻という訳でもなく、曖昧ながらも、その世界では厳格に当否の判断はありつつ、しかし結局、平たく言うと「ハンコ」なんだそうです。

あるいは、こんなハンコ

あるいは、こんなハンコ

という訳で、てならい堂は、篆刻を全く語れません。

しかしながら、「自分の印にこだわりましょう」というその提案には、少し背筋が伸びる様な感覚がします。

西のサインの文化に対して、東洋は印章の文化。

そもそも篆書体とは、物の見た目をそのまま現していた象形文字が、各地で抽象化を経ながら、ばらばらに発達したものを、秦の始皇帝の時代に整理したと言われる文字です。

篆書体の後の漢字の歴史が、文字としての使い勝手を求めて簡略化され、文字数も劇的に少なくなる方向へ進んでいくことを思えば、篆書は、最も、万物の世界に近い見た目の構造と種類を持ち、表現豊かな文字だったと言えるのではないでしょうか。

そしてその文字の持つ奥深さと美しさ故に、書や画と同等のひとつの芸術として、篆刻は確立していくこととなります。

書の道に書道家がいるように、彫刻の道に彫刻家がいるように、篆刻の道には、篆刻家という芸術家が存在します。

篆書の持つ造形美をさらに自由にアレンジしながら、数ミリ四方の印鑑という極小さなフォーマットの中での表現する、この芸術は正に東洋の神秘。

自由でありながら自由でない、制約がありながらもその中では無限という、いわば小宇宙の様な世界、てならい堂が篆刻に持ったイメージです。

単なるハンコではありません。

2200年前の文字を学び、あなたの文字が持つ、いや、古くはあなたの祖先に縁ある土地や家柄が持つ背景が持つ歴史を、インスピレーションと共に文字として彫り上げる印章です。

無味乾燥な印鑑ではなく、あなたの作品や仕事や、あるいは生活そのものに印す、あなただけの刻印。

篆刻という未知の神秘に、妄想が止まりません。(笑)

「母の日」に、篆刻家とつくるの暮らしの印。

お、お母さん、、、

お、お母さん、、、

今回、この篆刻を教えてくれるのは、鎌倉に居を構える、篆刻家・雨人さん。

人が住む場所というのは、その人の人となりを想像するのに、少し力を貸してくれますね。

主には書道家が作品の隅に押印するこの篆刻というニッチな道に進むのは、その道に進むことによっぽどの強い想いを持った人か、あるいは変人か。(笑)

書道家の母の下に産まれ、いくつかの偶然と多彩な海外経験を経て、篆刻家の道へ進んだ雨人さんが、どちらに属するのかは分かりませんが、ただそこには、きっと「必然的」な「必然」があったのだろうということ。

石に文字を掘り、そもそもの篆書という難解な文字に深い造詣が必要となる篆刻が、私たちのような素人がたとえ1日という時間を費やしたとしても、到底簡単なこととは思えません。

あるいは、このワークショップには、想像以上の挫折が待っているのかもしれません。

しかし、篆刻の道のてっぺんを目指すと豪語する雨人さんの指導の下で、おそらく、世界で最も豊かな印章について学ぶことは、私たちのこれからの暮らしの「印を押す」という行為に、これまでに無かった気付きを与えてくれるのではないでしょうか。

そんな副作用は、てならい堂としては望むところ。

印を削るための印刀、石を固定する台、印につける朱色の印泥の道具一式はお持ち帰りいただけますので、今回習ったことをベースに、今後も篆刻を続けることができます。

例えば、これから会社をつくるあなたが、自身の会社の印を、自分で作ってしまうというのは、刺激に満ちた体験かもしれません。

例えば、普段、家庭を守ってくれているお母さんが、自分の印を刻み、家庭内の自分の作品に自慢げに「母」のハンコを押して歩く、、、愛おしい光景かもしれません。

母の日、直前。

相も変わらず気持ちのいい、新木場の海を望む部屋で、母子ご一緒でのご参加もお待ちしております。

海へ。モノづくりの海へ。

海へ。モノづくりの海へ。