こんにちは。にっぽん てならい堂店主の中村です。

本日も神楽坂の虚空庵で金継ぎと蒔絵の教室。虚空庵に飾ってあった柿が来るたびに変化していきます。

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なんとも言えない。この後どうなるんでしょうね。

さて、今日は4回目。金継ぎは上塗りの工程の回になります。

前回下塗りした黒漆を再び研いで、その上にまた黒漆を塗り重ねます。

せっかく塗ったものを削って、また塗り直す、、、なんて聞くととても不合理に感じますが、当然そこに意味があるわけですね。

今回の研ぎの目的は、器の縁を滑らかにするため。前回ふっくらとする様に作った縁の線の、デコボコしたところを丁寧に削って、滑らかにしていきます。

一方で、木のブローチの蒔絵の作業。こちらは、お休み中に先生がもう一度研いで塗り重ねておいてくれたものを、みたび研ぎます。

艶が消えてマットになるように。そうすることによってツルツルだった表面に小さな傷をつけて、漆が吸い付きやすくするんですね。

先ほどと同じく”研ぐ”作業ですが、それぞれに意味が違って、そうすると作業のニュアンスも変わってきます。繊細だなあ、もう。

あ!って先生が言って、これは失敗例。器の縁のラインがちょっとへこんじゃいましたね。削ってもう一度サビを塗るところからやり直しになりました。積み重ねですね。

あ!これは失敗例。器の縁のラインがちょっとへこんじゃいましたね。これは前工程の問題。削ってもう一度サビを塗るところからやり直しになりました。工程の積み重ねなんですね。

さて、研ぎが終わったところで、金継ぎの方は上塗りの工程。再度綺麗に黒漆を塗り重ねます。

初心者だとどうしても厚く塗りがちなところ、我慢してうすーく塗っていきます。薄い分には、塗り重ねられますからね。けど厚いと取り除けないです。乾きづらくなったり、さらに厚くしすぎると漆が垂れてきちゃう。ということで、強度が増すというメリットはあるものの、迷ったら薄くするのが鉄則!と行庵先生。

金継ぎの器は今日はここまで。そして、蒔絵のブローチの方で、金継ぎに先駆けて粉蒔き(ふんまき)の作業を予習的にやっていきます。

ブローチはいくつか種類があって、皆さん好きな柄を選んでもらいました。その柄にふさわしい色の組み合わせを考えていきます。皆さんしっかりとイメージを作ってきてくれたので、迷いなく進めていきます。

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この後で錫を蒔く人は黒漆を、赤く仕上げる人はベンガラ漆を塗ります。ブローチですから、引く線も細かくて繊細!あちこちで悲鳴が上がるたびに、先生が走ってリカバリーに。まあ、簡単じゃないですよね。

ブローチに黒漆で細かい線を入れたら、そこに粉筒を使って粉を蒔きます。指で軽く揺らしてパラパラといい感じに粉を落とします。なかなかいい感じになんないですが。笑

そして落とした粉を毛棒という、先に毛がついた棒(そのままですね)で余分な粉を払い、足りないところに移動させます。すると、先ほど漆を塗ったところだけに錫の粉がついて、柄が浮き上がってきました!これは!

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日本で最も細い線が引けるという「ねじ筆」は今、作ってないので「ねじ代わり筆」を借りて、手をプルプルさせながら線を引きました。

それぞれ柄が違うので、それによって工程も違って、いろんな技法を見ることできます。これこそ蒔絵の醍醐味ですね。シンプルさが偏重される傾向が長く続きましたが、”加飾”の技法である蒔絵に触れて、やっぱり心が少し”上がる”のを実感できます。

次回はまた来年。今回予習した粉蒔きを金継ぎに施します。楽しみ!冬休み、キットを買って家で復習します!という方も。参加の皆さま、どうぞ良いお年を。

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椿のヘアピン。錫粉にベンガラの赤が綺麗!喜ぶだろうなあ、娘さん。