こんにちは。てならい堂スタッフのひとみです。

やっと涼しくなってきた10月初めに、「鍛冶屋さんとつくる、料理が美味しくなる一枚鉄のフライパン」のワークショップを開催しました。

大人気のワークショップが開催されたのは、埼玉県狭山市にある鍛冶工房<Metal NEKO> さん。教えてくださる先生はこちらの工房でいつもカッコいい使いやすいフライパンを作り続けている金子恭史さんです。

熱源はおがくずを固めて作った『おが炭』と『木炭』がメイン。CO2の発生が少ないものを使いたいと環境も視野に入れていらっしゃいます。化石燃料のコークスは温度を上げるのに必要だが極力使用を控えて。バーナーも水素ガスのものを使用。あくまでも環境にやさしいものを使いたいと。

皆さんが到着する前から炭を切って準備する金子さん

今回は小学5年生の男子がお母さんと一緒に参加してくれました。金属に興味があって鋳物体験など色々と参加しているそうで、貴重な後継者発見!と思わず冗談が。

鉄フライパンを使い始めたくて、せっかくなので自分で作ったものを。

と、参加のきっかけはそれぞれでしたが、鉄フライパンへの愛があふれていて、金子さんの説明を熱心に聞きながらも、早く手を動かしたくてうずうずしているのが伝わってきました。

これから叩いてフライパンになる切り出した鉄板はこんな感じで控えてました。脇にある木槌で叩いていくんですよ。意外ですね!

 

この鉄板から溶接で切り出します

目指す完成形はこんな感じです!さあ、がんばるぞ!

革の持ち手カバーはオプションで追加できますよ。

先ずは刻印をしていきます。イニシャルや名前など好きな文字を決めたら、金槌でカン!カン!カン!簡単そうに見えたけど位置を決めて一発で決めるのはなかなか難しい。

ちょっと曲がっちゃったけど、これも味!

さあ、火入れをしてフライパンを熱していきますよ。火花が熱そう。

ろう石でマークしたところを目安に立ち上がりとなるところを叩いていきます。と、金子さんがデモンストレーション。

 

鉄板が真っ赤になるまで熱していきます

さあ、いよいよやってみましょう!金子さんが動かしながら叩く場所を指示してくださるので大丈夫。ひたすら叩く。叩く。

叩くと火花が飛び散って、ちょっとびっくり!

二組の参加者さんは熱しては叩く!熱しては叩く!の繰り返し。途中交代待ちのタイミングでお話しを伺うと、「意外と曲がる!」「楽しい!」とまだまだ余裕のコメント。

持ち手の立ち上がりも出来てきました

続けて側面の丸みを出すように型を変えて叩いていきます。「波々によれていくけど気にしないで。あとで直していくので。」と金子さんの言葉を受けて、安心して叩いていきます。

こんなに波々でも大丈夫!

ろう石で修正箇所をマーキング

マーキングしてくださった修正するところを狙って叩く!叩く!

「余分な鉄を移動させるイメージで。」と金子さんのちょっとしたアドバイスに一同、「なるほどね~」と深く納得。木槌の叩く音も安定してきて軽快にカン!カン!と小気味よい音が鳴り響き、順調に進んでだいぶ形になってきました。ここで一旦、午前中の作業は終了。

皆でお昼休憩をとって後半、またがんばるぞ~。

前半戦終了。フライパンらしくなってきたなぁ。まだまだだけどね~。

みんな一緒にお昼を食べながら、午前中の感想や鉄フライパンを使っていく上での注意ポイント、お手入れのコツなど、先生への質問が尽きず。。。出来上がりが楽しみで仕方ない。とかなり興奮気味で楽しいお昼時間を過ごしました。

お腹いっぱいになり、少し落ち着いてくると実は疲れていることに気付き、叩くのはそんなに力はいらないけど、ずっと立ちっぱなしだったからねぇ。と今更ながらの会話に。昼休憩後半は思い思いにゆっくり過ごして体力回復に努めました。

午前中にほぼ形が出来上がっていたので、午後は底面仕上げからスタート。ここは今日一番に温度を上げるので鉄板を熱するのも少し時間がかかります。金子さんから「座って、ゆっくりしていてください。」とお言葉があり、みんなで椅子に座って炎のゆらぎを見つめていると、なんだか癒される気分でした。『焚火効果』ですね。

火の温度や鉄の状態を見極めながら、炭をくべていく金子さん。

最高に赤々と鉄が熱せられていきます。まだいきます!

熱せられたフライパンが透明感を帯びてきたように見えます。周りの炎はなんとも妖艶な感じで引き込まれそう。最高に熱々になったところで、今度は金槌で底面を整えていきます。

木槌とはちがって、甲高い金属音が鳴り響きます。クライマックスへの合図のように。

力まずに金槌の重さをいかして、熱々の熱を感じながら皆さん落ち着いて底面を仕上げていきました。ひと工程を終えたあとは皆さん満足そうな表情。

最後に、持ち手の加工です。ラッパのように少し広がった形の持ち手が特徴で、この広がりがあるおかげで握った時に滑って落ちるのを防いでくれるんだそうです。細かい所まで金子さんの気遣いが行き届いた素晴らしいフライパンです!

目指すのはこの形!

 

いい感じになってきました。

これが持ち手の丸みをつけるための台です。ハチの巣みたいですね。

上の溝を使って持ち手の部分に丸みをつけていきます。

最後に金子さんが微調整してくださり、完成です!!!

皆さん、やりきりました!途中、ちょっと疲れが見えていましたが出来上がりをみて、そんなのもどこかへ消えてしまったようで、笑顔で達成感を味わっていました。やり終えたばかりなのに、Sサイズを作った方はMサイズも作りたい!とまだまだやる気満々。鉄フライパン愛が止まりません。

持ち手の末広がりな感じもちゃんと出来てます!

このあとは金子さんが磨いて焼き付けをして最後の仕上げを施して皆さんのおうちへお届けします。これからずっとずっと使い続けてもらえるかと思うと嬉しくなりました。

鉄フライパンを作るって、どれだけ大変なんだろう。ハードなワークショップなんだろうな。と勝手に思い込んでいました。ところがところが、金子さんに導かれながらきちんと形になっていき、見た目ほど力はいらない、モノづくり初心者の方でも絶対楽しめる、何より貴重な体験ができる有意義な機会だと思いました。とはいえ簡単な工程ではないので、自分で作った道具に愛着がわくし、道具を大切に使い続ける姿勢が育つ素晴らしいワークショップなので、是非、お子さんに参加してもらいたい!です。

さあ、鉄のフライパンで何を作りましょう?色々と作りたいメニューが浮かんできます!シンプルに目玉焼き。パンケーキもいいし、美味しいステーキ肉を焼いてみる?

次はあなたが、自分だけの手づくりフライパンを手に入れてみませんか?