みなさんこんにちは。てならい堂スタッフの村上です。

桜もちらほらと咲き始めてきて、だんだんと春の訪れを感じますね。

3月14日は「ひと冬かけて仕上げる和服ズボン、”たつけ”づくりオンライン講座」の4回目を開催いたしました。講師は引き続き、石徹白洋品店さんです。暖かくなっていくのと平行して、たつけも完成に近づいています。

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今は、ズボンが開いてる状態ですね。なんとな〜く、ズボンになったらこんな風になるんだろうな、という想像ができるようになってきました。

4回目は、ズボンのゴム通しの穴を開けたまま、左右をスティッチでおさえていく作業からスタートです。縫い代がピロピロしないように、おさえて縫っていきます。

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スティッチの後は、いよいよズボンを筒にしていく作業に入ります。まずは、じっくりと布同士を合わせて、ピンをうっていきます。手縫いなので、少し合わなくなってしまったところなどを絶妙に合わせていきます。合わせ終わったら、ウエストから裾の方にかけてぐしぐしと縫います。縫う距離が長く、大変な作業!でも、この作業が終わると、とうとう筒に足が通せるようになり、ズボンらしくなってきます。

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ズボンを縫いながら、石徹白洋品店さんが石徹白の暮らしや、たつけのお話を、写真を交えながら聞かせてくれました。写真の女性は、イトシロサエコさん。現在86才のサエコさんが20代の頃の写真だそうです。石徹白洋品店さんは、サエコさんからたつけの作り方ををこたつに入りながら教わりました。サエコさんは、毎年自分で新しいたつけを作って、それを着ながら農作業をしていたそうです。

お話しを聞きながら、たつけが石徹白の暮らしの一部だったことを感じます。他の地域だと、八十代の方だと、もうたつけの作り方がわからないということが多い中で、石徹白では六十年前頃までたつけをが日常的に着られていたといいます。それは、それだけモノが手に入らなく、自分で作ることが必要な地域だったということでもあるそうです。そこにあるものから美しいものを作り出す技術や知恵、そしてたつけが日常的にはあまり着られなくなった今も、途絶える事なく伝わり続けていること。お話を聞いているうちに、また行ってみたい場所がひとつ増えました。

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ズボンが筒状になったら、縫い代を倒して、ステッチでおさえていきます。筒状になっている参加者の皆さんのズボンをみると、これを一から手縫いで作ったなんて本当に凄い!と改めて思います。

「服を作ることを知っているものとしては、たつけはとっても画期的なつくりなんです」と石徹白洋品店の平野さん。ズボンが筒状になるまでは、これって本当にズボンになるの?と思うほど不思議なつくりだといいます。でも、だからこそ凄く効率的な布のとり方をしていて、動きやすいズボンです。そして、これができたら何でも乗り越えられるというほど(笑)、たつけは難しいです。型紙のある洋裁とは違い暮らしの中で作っていくものなので、合わなくてもしょうがない。何度も作っていくうちに自分の癖などがわかってくる、と教えてくれました。たつけを作るタイミングは、素敵な布との出会いがあった時とか、よしやろう!という気持ちになった時がおすすめだそうです。

服を作るって難しいな。これを日常的にやっていた人はすごい」「石徹白の話が聞けたのがよかったです。やっと完成品が見えてきました。」と参加者の皆さん。最終工程であるウエストと裾の縫い方を教わり、おうちで完成させていただきます。一体どんなたつけが出来上がるのでしょう。皆さんの素敵なたつけが見れるのが楽しみです。完成に向けてできるところまで頑張って下さいね。

次回の最終回は、おさらいとアレンジのおはなしです。第5回に続きます。それではまた次回に!