こんにちは。てならい堂スタッフのいけです。

心地よい風が吹く五月下旬、埼玉県狭山市にある工房<Metal NEKO> で

「鍛冶屋さんとつくる、料理が美味しくなる一枚鉄のフライパン」のワークショップを開催しました。

毎回人気のこのワークショップ、教えてくれるのは、Metal NEKOの金子恭史さんです。

金子さんのお話をきく参加者のみなさん

「一生モノの道具を作りたい!」

「以前フライパン作りに参加した友人に勧められて夫婦で興味をもって」

参加のきっかけはそれぞれですが、みなさん始まる前から工房内を見てこれから始まるフライパン作りに興味深々です。

これからつくる一枚鉄のフライパン 見た目よりずっしり重いです

フライパンの素となる鉄をたくさん発見!

自己紹介を終えた後は、金子さんのお話を聞いて、それぞれ刻印したいものを決めてからスタート!

どんな刻印にしようか迷う…

刻印を決めたら、金槌で打っていきます。簡単そうに見えて意外とグラグラして難しそう。

フライパンを熱したら、フライパンの立ち上がりとなる部分を叩いていきますよ~

叩き方をデモンストレーション

木槌の面を使って、しっかり叩いていきます

金子さんがフライパンを動かしながら叩く位置を教えてくれるので、安心して身を任せて叩く!叩く!その後もフライパンを真っ赤に熱しては、叩く、熱しては叩くの繰り返しです。

参加者のみなさんから、「すごーい!」「力づよーい」「思っていたより曲がる~」など叩くたびにテンションもあがり、楽しそうな声!

続いて側面をもう少し曲げていきます。丸い型を使って、Rを意識しながら叩いていきます。

「余分な長さがシワになるけど、最初はそれでOK」と金子さん

形を整えていきます

木槌を使って叩く!たたく!みなさん最初より叩き方が安定してきて、カン、カン、カン!の音がなんだか心地よくなってきます。

シワを伸ばしながらカタチを整えていきます

「余分な鉄をどこに移動させるかっていうイメージで叩いていただくといいですよ」って、なるほど~と一同感心…イメージって大事ですよね。だから先生の動きには無駄がなくて余計な力がかかっていないように叩けるんだなと納得。その後も金子さんがチョークでガイドラインを描いてくれるので、そこに向かって、叩くのみ!

ガイドラインを描きながら叩く位置を調整していきます

だいぶフライパンらしい形になってきたところで休憩です!

お昼休憩中には、みなさんと午前の感想を共有しながら楽しい時間を過ごしました。

「先生がもうドンピシャのいい位置を叩けるように回してくれるから安心して叩ける」

「いつも、一人でフライパン回しながら作っている先生すごい!」

これまで相当な数の作品を作って、鉄と向き合ってきた金子さん、

「以前は、こういう形にしたいということばかり気にして叩いていた時に腕を痛めてしまった…今はあまり形にとらわれずに、鉄の状態を見て叩けるようになったので余分な力をかけなくても、できるようになってきたのかもしれない」と教えてくれました。

トイフライパンやトイスプーンも見せてくれましたよ。かわいい…2歳の娘に見せたいくらいです。

小さいけどちゃんとフライパン

午後に入って、みなさん疲れもとれたのか最初から小気味よい音をカンカン鳴らしながら、フライパンの形を整えていきます。

その後は今日の中で一番温度を上げて、炎もMax!いよいよ、底面仕上げです。

「どうぞ、座ってゆっくりしていてください。」

のお言葉で、参加者のみなさんと揺れる炎を見ていたら一緒に焚き火を囲んでいる気分になってきました。

木炭を細かく切りながらフライパンを熱している炉にくべていきます

温度や鉄の状態を見極める金子さんの目が光ります。

木炭をトントン切りながら炉にくべていく所作は敏腕シェフ!

炎を操る金子さん

コークスに比べて木炭は火持ちが悪いので、一気に温度を上げるためには、たくさん使用する必要があります。

最初のお話で、「鉄の加工には沢山の燃料が必要で、その燃料から排出される二酸化炭素のことも気にしながら作っています」と金子さん。使う燃料を見直し、水素ガスや木炭を使用することで、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。環境への配慮だけでなく、仕上がりの調整やオペレーションも日々努力されているのが素晴らしいなと感心しました。

「IHで使用する場合は、底面をしっかり平らにした方がよく、ガス火で使用する場合は多少曲がっていてもOK」 と聞いてIHで鉄フライパンって使えるのかと少し驚いていました。

フライパンも熱々になったところで、木槌から金槌に持ち替えて、底面を叩いていきます!

見るからに熱々!の真っ赤というか白みを帯びてるフライパン

音も変わって、金属と金属のカンカン音!仕上げに向かっていく始まりのようにも聞こえます。まずは周りから叩いていきます。

「真ん中が膨らんでくるので、バランス見て叩いてください」男性陣が力強く叩くたたく!

「今日の工程の中で、1番熱を感じた。ちゃんと熱かった!」

「見た目も真っ赤で熱そうで、今日一、鉄を加工している感じがしました!」

熱々のフライパンを叩いたみなさん、なんだか嬉しそうです。

続いて、持ち手の加工です。クルンと丸まった持ち手が特徴のこのフライパン、年季の入った型の上に置いて金槌で叩いていきます。

自分で持ちながら加工して最終仕上げ!

疲れも出てくる時間だろうに、フライパンへの愛着がかなり湧いてきていて、みなさん笑顔で叩いています。

底面と持ち手の間を叩きます

持ち手の角度を決めて叩いていきます

同じ工程を経て作った二組の作品。すでに個性があります

完成です!!

この後、金子さんが最終仕上げをしてから、みなさんのお手元にお届けしますよ。私もこの後記を書きながら、完成品がとっても気になっています。大事に使っていただけると嬉しいです。

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最後に、金子さんにこのワークショップはどんな方におすすめか聞いてみました。

初めてモノづくりに参加してみたい方や、道具を長く大事に使いたい方もぜひ。

金子さんがお子さんと一緒に作られたフライパンは今も現役とのこと。毎日寄りそう調理道具、一緒に使う家族と作って長く使うのも良いですね。

ひとりでじっくり鉄と向き合って、自分好みのフライパンをつくるのも楽しそうです。私も一人でとことんこだわって作ってみたい!と感じました。

ワークショップを終えて、自分の持っている鉄フライパンは、こんなに時間をかけて作られていたんだ…帰ったら、ちゃんとお手入れしよう。何かあったら金子さんに相談しよう~お腹も空いてきて、鉄フライパンで餃子焼こう!ホットケーキも美味しく焼けるし、ハンバーグも余熱で美味しくできるんだった。と作りたい料理もたくさん浮かんできました。直接作り手の方と色々なお話しをして、道具や使い方を見つめ直す貴重な機会でした。

参加者のみなさんお疲れ様でした!

金子さん、今回も楽しい体験をありがとうございました。