【てならい後記】深める金継ぎと初めての蒔絵教室(割れ編)第五回
こんにちは。にっぽんてならい堂の松本です。
朝は雨がパラパラと降っていましたが午後には上がり、蒸し暑さが感じられた週末。
さて、5回目の「深める金継ぎと初めての蒔絵教室(割れ編)」は、前回「中塗り」した状態を確認し、その表面を乾研ぎして、漆で下塗りをし「粉蒔」の工程に入っていきます。
まずは、乾研ぎ。中塗りの艶を白くなるように軽くあてる程度にやすりで磨きます。乾研ぎを終えたら、この後の粉蒔のため下塗りをしていきます。下塗りは、金仕上げの場合は朱赤漆、銀・錫仕上げは黒呂色漆を使います。
これまでの工程で、皆さん細く漆の線書きをしてきたので、筆の動かし方はとてもスムーズ。今回一番難しいのは、中塗りの漆の線より、髪の毛1本分被る線を引くこと。できればピッタリの線を引くことが出来ることがベストなのですが、その線を引くことがとても難しいのです。皆さん、キワを攻めて丁寧に慎重に線を引いていました。
もう一つ、大事なポイントは、「線を盛ってはいけないこと」。何故かと言うと、盛った分だけ漆が仕上げの粉を吸ってしまい、粉が沢山必要になってしまう為。特に金粉は高価ですし、出来るだけ薄く均一に…を目指します。色漆で仕上げる場合は、粉蒔しないため多少盛っても大丈夫、と行庵先生。仕上げ方それぞれに意味があります。
ここまで、丁寧に下塗りをしたらいよいよ「粉蒔」へ。
初めての生徒さんも多く、行庵先生に見本をみせてもらいしっかりと学んでいきます。粉蒔に必要な道具の説明と、持ち方、蒔き方。私にとっても初めて目にする光景で、道具をみるだけでも引き込まれます!
親指、人差し指、人差し指の付け根あたりの3点で固定して、中指でトントンと粉を入れた粉筒を叩くことで蒔くことが出来ます。
次に毛棒を使います。毛棒が蒔絵の箇所に触れないように蒔いた粉を掃きかけ、次に上から優しく掃きます。蒔いたまま放置しないように気をつけましょう! 仕上げ粉を蒔いてしばらく置くと、漆が厚い箇所は粉が沈んで絵の具状になってきます。そうなったら、2回目の粉を蒔きます。
とても丁寧にキワまで攻めて書いた線でも、「あぁ。。中塗りの線が出ちゃった!」という声が。再度漆を引き直し、この隙間を埋めていきます。
皆さんが選んだ仕上げが、器に新たな色味として浮き上がってくる「粉蒔」の工程は、最終的な輝く線「金継ぎ」のイメージにグッと近づいた気がします。
一方のブローチとお箸には、前回螺鈿を施した上に黒呂色漆を塗り重ねていきます。せっかくの輝きに漆をさすの?と不安になりますが、磨くことでその輝きが浮き出てくるそう。
今週はここまで。次回は粉固め。ますます楽しみです!