こんにちは。てならいのタネシリーズ、第8の公開です。

先週に引き続き、梅澤さんに金継ぎについてのご質問にお応えいただきました。

今回は、てならい堂で開催している「金継ぎ教室」についてや梅澤さんご自身の”漆”や”金継ぎ”との出会いについてお話いただいてます。

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梅澤さんにもご協力いただいている、てならい堂で開催中の「金継ぎ教室」。初めて金継ぎを学ぶ方向けに、初心者の方でもわかりやすい金継ぎ教室を目指して全7回のワークショップを開催しています。

しっかりとひとつずつの手順をプロから学ぶことで、壊れてしまったら捨てる、という選択肢ではなく、”自分で直してじっくり使う”という新しい選択肢を手に入れることができます。 

そんな金継ぎ教室に関する質問にお答えいただきました!

 

Q.金継ぎ教室で生徒さんへ教えるにあたって、難しい部分はありますか?

A.作業工程自体は難しいものではないので、慣れてしまえば・・・と思うのですが、金継ぎでは使用する素材で似たものが様々あるので、そこはわかりにくい部分なのかなと思います。

例えば、接着や欠けを埋めるためのペースト。金継ぎ教室では現在3種類のペーストを教えていて、まずは接着するための「糊漆」、大きめの欠けを直すための「こくそ」、小さな隙間を埋める「錆漆」っていうペーストがあるんですが、皆さんどこでどれを使うのか・・・という部分ですごく混乱してしまいます。

錆漆は砥の粉と漆を混ぜ合わせているので、なめらかなペーストなんです。なので、厚く塗ってしまうと中が乾かずに、グチュグチュになってしまったり・・・なんてこともあります。 こくそに関しては、粒子が大きめで少し厚めに埋めても気候にもよりますが3〜4日くらいで中まで乾いてくれます

道具についても、漆の掃除用具なんかも色々あって、テレピンっていう漆を薄めたり掃除したりするもの、菜種油という筆を洗うもの。どちらも透明でわかりづらくて混同することもあります笑

そういった部分で、道具を用途に合わせて使い合わせていくことが、はじめたばかりだと難しい部分になってくるのかなと思います。

てならい堂で販売している金継ぎキット

てならい堂で販売している金継ぎキット

 

Q.これから金継ぎをやってみよう!という方へ特に注意してもらいたいことはありますか?

A.漆を使っているので、九割の人は触ったらかぶれてしまうと思います。まれに大丈夫な人もいるのですが、むやみに触ったりするのはやめた方がいいです!

教室でも口酸っぱく言っているのですが、しっかり手袋をすること。漆が付着した手袋で触れたものは素手で触らないようにすること。 また、作業中髪の毛を耳にかけたり、かきあげたり、眼鏡をあげたりと、無意識にとってしまう行動にも注意が必要です。

折角のご機会を頂いたので、梅澤さんが漆や金継ぎと出会ったきっかけもお聞きしました。

もともと芸術大学で漆について学んでいたという梅澤さん。

なぜ漆の道に進むことにしたのかというと、”漆の可能性”に興味をもたれたそう。

「漆のイメージは、伝統工芸に見られる豪華絢爛なイメージでしたが、それだけじゃなくて、漆の色のバリエーションがあったり、蒔絵の中で使われている貝や卵殻や金属粉など他の素材を組み込んだり、新しい表現の可能性があるんじゃないかなと、気になりました。そういった好奇心もあって、漆の道に進みました。」

実際に漆に触れてみると、生きものみたいでうまく行かないこともあるけれど、育てながら日々楽しんで作品づくりに励んでいるそうです。

漆の意外な一面について、こんなこともお話していただきました。

「木に塗るっているのが主流だとおもっているんですけど、昔の仏像とかもそうなんですけど

木だけじゃなくて布を漆ではりかためて、それを何重にも重ねることで布と漆だけで立体物ができたりっていうのもすごい面白い表現だなって思って、ただの塗り物・・・塗料だけじゃない、接着の能力とかそういうところがまた面白いなーって思っています。

知れば知るほど気になる素材ではありますね。本当まだわかんないことばっかりで、大学を卒業しても謎だらけです笑

勉強してもわからないことがいっぱいです。」

また、金継ぎとの出会いは偶然のもので、特に授業のカリキュラムがあったわけではなく、学生時代に金継ぎという器の修理方法があるということを聞いて、やってみたいなと思い先輩や先生に聞きながら独学で進めてきたとのこと。

色々な漆塗りの技術で、金継ぎの工程はどうにか賄えるものの、器への応用は初めてだったので色々試行錯誤してここまでやってきたそうです。

「漆を学ぶ中でなんとなく出会った金継ぎでしたが、今では自分の漆の技術が、人助けというと大袈裟ですが 笑、思い入れのある器が壊れて悲しんでいる人たちの力になれた気がして、この先も続けて行きたいと思いました。

私も器が好きなので、陶器市に行くんですが、作家物の器って壊れてらショックでハードル高くかんじていたんですが、自分で直せるし!と思って、買えるようになりました。もし壊れてしまっても、直してまた違う新しい姿に出会えるので、それはそれで楽しみになります。」

最近では、骨董でも欠けているものは安くなってワンコイン以下で買えたりするので、自分で繕って使うことができれば、ちょっと得した気分になるし、金継ぎで素敵な姿になるし、一石二鳥ですね・・・!

最後に梅澤さんの漆作品もご紹介いただきました。色々な漆の技法を使っていたりと、とっても素敵な作品を見せていただきました!

螺鈿(らでん)の技法を使って貝を貼り付けた漆の箸。見る角度によって、色々な色味を楽しむことができます。

螺鈿(らでん)の技法を使って貝を貼り付けた漆の箸。見る角度によって、色々な色味を楽しむことができます。

生漆を刷り込ませ、拭いて・・・という作業を繰り返して艶を上げていった拭き漆の箸。箸のてっぺんには錫粉で仕上げた模様がはいっています。

生漆を刷り込ませ、拭いて・・・という作業を繰り返して艶を上げていった拭き漆の箸。箸のてっぺんには錫粉で仕上げた模様がはいっています。

白漆や錫、違う色の漆を重ね合わせたアクセサリー

白漆や錫、違う色の漆を重ね合わせたアクセサリー

革に漆を吸わせて、金色部分には真鍮素材を使用したもの

革に漆を吸わせて、金色部分には真鍮素材を使用したもの

こんな一風変わったおもしろい作品も!紙を土台にして漆で固め、その上から漆塗り・金箔を載せて絵を描いているそうです。

こんな一風変わったおもしろい作品も!本などに挟んで使用できる栞です。紙を土台にして漆で固め、その上から漆塗り・金箔を載せて絵を描いているそうです。


さて、今回の”てならいのタネ”いかがだったでしょうか?長い歴史をもつ金継ぎ。時間はかかってしまうけれど、これから長い付き合いをしていく器を新しい姿で迎え入れられるのはとても素敵なこと。

材料である”漆”についても知ることで、より金継ぎの魅力が増してきますね。

次回も、来週水曜日公開予定です。

引き続き、色々な道具について頂いた質問や魅力について、つくり手さんのインタビューも交えてご紹介していきますので是非ご覧ください◎