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竹皮に触れる、編む。自分のペースで竹皮編みワークショップ、入門編。
竹の皮を使って編む日本の工芸品、竹皮編(たけかわあみ)を体験してみませんか。
竹皮編とは、竹の皮を細く割いて、針を使って巻きながら編み込んでいく手法のことで、群馬県の伝統工芸品としても知られています。
自然素材が好きな人、編むことが好きな人、とにかく手を動かすことが好きな人に向けた、竹皮編の入門講座です。
使う道具はとってもシンプル。針1本とハサミ1つで作れます。1日でできる大きさは、おおよそコースターサイズのもの。2日間連続で開催するので、どちらか1日だけの参加でもよし、2日間連続での参加ももちろんOKです。
2日間連続でご参加される場合は、さらに編み進めてカゴのようなカタチにするも良し、鍋敷きやトレイ、座面にするも良し。1日だけの場合でも追加で竹皮を購入できるので、ご自宅で編み進める事もできますよ。
針を使えるのであれば、小学校中・高学年くらいのお子さんでも体験できます。1日かけて行うので、途中で休み休み、それぞれのペースで無理なく進めていきましょう。

竹皮で編んだ竹皮編のコースターとトレイ。白いところはカシロダケ、色の黒いところはマダケを使用しています。今回使用するのはマダケになります。
実は、竹皮編は一度廃れてしまった時期があるんです。最後の一軒だった竹皮編職人のところへ行って学び、技術を受け継いだのが、今回教えてくださる前島美江さん。
前島さんは、その技術を次の世代へと伝えるために、群馬県高崎市に“でんえもんときわ”という工房兼サロンを立ち上げて手仕事を伝える活動を行なっています。
竹皮を触った時に感じる自然素材のぬくもりや、手仕事から生まれるリズムの心地よさ、そういったことを味わって体験してもらえたら、と前島さん。

昔からの竹皮編みの技術を受け継ぐ前島美江さん。
前島さんが主に使用している竹皮は、九州の八女地方で取れるカシロダケ。その名の通り、皮が白いのが特徴なのと、柔らかく粘りがあるので編むのに適しています。
前島さんは20年近く八女市の竹林整備の活動を続けているそうですが、人手不足も深刻で、年々材料が入手しにくく貴重になってきているといいます。
今回使用する素材は、群馬県赤城山で採取されたマダケの竹皮。様々な竹皮の中でも質が良く、落ち着いた色合い。ちなみに竹皮には殺菌効果もあるので、食材との相性がいいんですって。

白いところがカシロダケ。黒いところがマダケ。今回使用するのはマダケになります。
まずは、竹皮を水に浸して手の温もりを伝えるように握って水分を行き渡らせれば、下準備はOK。

※水に浸けているのはカシロダケ。
その後は、針を使って竹皮を細く割いていく作業。前島さんが使用している針は日本で作られた畳針で、とても質が良いのだとか。ただ現在では畳屋そのものが少なく、道具も手に入り難くなってきていると言います。

DAISOで売っている、補修用針はお勧めなのだとか。
ご家庭にある、大きな手縫い針やDAISOで売っている補修用針で代用できますので、当日はぜひご持参くださいね。針穴に、細く裂いた竹皮が入るくらいの大きさのものが使いやすいです。もし忘れてもお貸し出しできますのでご安心ください。

畳針を使って、竹皮を細く割いていきます。
細く割いた竹皮を芯にして、そこに幅のある竹皮を巻きながら編み込んでいきます。この編み方にもいろいろな手法がありますが、今回は最も基本となる円形の編み方からスタートします。

細く割いた竹皮を芯材にして、巻き材である竹皮を巻き付けていきます。ちなみに、前島さんが編んでいるのは、お弁当箱のフタの部分。
人によって作業スピードも違うので、1日でできる大きさは人それぞれ。おおよそコースターサイズのものができる想定です。
1時間ほどのお昼休憩をはさんで、再び手を動かしていきましょう。お昼は神楽坂ランチを楽しんでください。「てならい堂 のいえ」の1Fのレストラン「のいえ」さんのランチもおすすめなので、(やっていれば)ぜひ試してみてくださいね。もちろん、ご持参頂いてOKです。

カシロダケで編んだコースター。よく見ると模様がそれぞれ違いますね。
ところで、ブルーノ・タウトをご存知でしょうか。ドイツの建築家として世界的に知られていますが、若い時に絵描きになりたかった一面や執筆活動、工芸指導なども行っていた、多才な芸術家です。
日本でのタウトは、書き溜めた原稿をまとめた『日本美の再発見』という著書によって、「日本美を発見した人」あるいは「昭和初期の日本文化の証言者」としてその名を知られている存在。
1933年に日本に来日しており、3年半ほどの滞在中最も長く過ごした群馬県の高崎市で、工芸品のデザイン指導を行なっていた時に雪駄(草履)の職人と出会ったことが、竹皮編が生まれるきっかけになっているんです。
竹皮編の生みの親=タウトとも言えますね。なんとも多大なる功績です。そこには、タウトの指導に応えた当時の高崎の職人達の技術力があってこそだと感じます。

ブルーノ・タウトがデザインしたかご。
タウトが日本を離れるまでの間に、数多くの工芸品をデザインしたそうですが、今も残っているのは竹皮編だけなのだそう。機能性と意匠性を兼ね備えた、ワインかご、メロンかご、裁縫用かご、パンかごなど、タウトがデザイン指導した竹皮編は数多くあります。

こちらもタウトがデザインしたワインかご。意匠性も高く、持ち運びもしやすい。
しかし、昭和30年〜40年頃には約400人いたと言われる竹皮編の職人も、度重なる戦争や高度経済成長の波に押され、一時途絶えてしまいました。
ブルーノ・タウトの特集記事が載っている雑誌を読んだ前島さんが、竹皮編に興味を持ち、最後の1人となった職人さんのところへ出向き、学んでいなかったら・・・。
竹皮編の手仕事を伝える活動と共に、タウトを掘り起こす会も立ち上げているという前島さん。タウトの美学や、タウトに関わってきた方々の話なども面白く、手を動かしながら、タウトについて日本美について想いを馳せるひと時も味わってもらいたいなと、てならい堂は考えました。

竹皮編の中でも人気が高い、お弁当箱。
人と人との偶然の出会いがきっかけで生まれた竹皮編。今回の出会いが、どんな影響や広がりをみせるのか今から楽しみです。

コースターの縁が、変形しているタイプ。猫耳のようで可愛いですね。※使用しているのはカシロダケ。皆さんが使う予定の竹皮は、マダケになります。
竹皮に触れ、リズムよく手を動かしながら、日本美について想いを馳せるひと時を過ごしませんか。皆さんのご参加をお待ちしています。
※6月3日(金)10時迄はサポート会員優先申し込み期間となります。
サポート会員へのお申し込みはこちらから
2日目:2022年7月10日(日)10:00~15:00
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