【金継ぎ】はじめての粉蒔き- 金の粉編-
「みんなの金継ぎ」今日は「割れ」の金粉をまいて完成のお話を。
先週、黒呂色漆でラインを引いて、約1週間漆風呂で乾かしました。
今日は下地の調整をしてドキドキな「粉まき」の作業です。
そう、仕上がりを金にする方もいれば、銀の方もいる。粉が違うだけで仕上がりの印象も全く変わってきます。
器を傷つけないように注意しながら、先週かいた黒呂漆のラインを耐水ペーパーを丸めて優しく表面を整えていきます。
漆はツルツルな場所には乗らないので、ザラザラの面にして次にのせる漆を定着しやすくさせるための作業です。(金継ぎ以外でも漆を使用する場合は下準備として行うそうです。)
ポイントは、前回かいたラインがとれないように撫でるように優しく表面を整えることです。
平らにしておかないと、この後に載せる漆が縮む原因になります。
縮みとは、漆の表面は乾いているのに中がまだ乾ききっておらず、漆の表面に緩みができてしまうことです。縮みが出た場合は漆の表面の縮んでいる部分を研いで、中の漆をきちんと乾かしてから作業をします。
平らに削ったあとは、上塗りを行います。今から塗る下地の色はこの後に蒔く粉の発色にとても影響してきます。
金など赤みが強いものは、ベンガラ漆を塗ります。銀やすずは青みが強いので、黒呂色漆や白漆を塗ります。
もし、漆を塗り直したい場合はベンジンで上塗りした漆を拭き取って再度チャレンジしてくださいね。
漆を塗り終わったあとは一旦漆風呂にいれて20分ほど乾かし、表面が少し乾いたところで粉を蒔いていきます。
漆がやけないように気をつけてください。ちなみに漆が乾燥しすぎることを「やける」と表現するそうです。
粉を蒔いていく際は漆で描いた順番で。理由は先に線を描いたところから順に乾いていくから。
真綿に金粉を含んで、金粉を落としていくイメージです。この後ムロに入れて一週間乾かし周りの汚れをとって完成です。
やっとここまで辿りつけました。時間はかかりましたが、じっくり器と向き合って新しい器へと大変身しました。自分で繕った器だけにより愛着もわきますし、毎日使っている器の扱いも変わってきます。
ちょっと丁寧なくらしの入り口に。みなさんも金継ぎはじめてみませんか?