【てならい後記】漆器をいつか手に入れたい人へ。使って、食べて、聴いて会津漆器”めぐる”のしっかり体験会。
こんにちは。スタッフのまるです。
まだ寒さが残るバレンタインデーのころ。てならい堂では、2年ぶりに会津漆器”めぐる”の体験会を行いました。
昼の会と夜の会でそれぞれ良い空気が流れていた体験会。お客さんに合わせて話す内容を変えて、どの切り口からでも漆を語っていただいた貝沼さんに脱帽&感動しました。
集まっていただいたみなさんは、漆器を日常で使いたい、漆器への憧れを持ちつつ、やっぱり高級品であり、非日常である、という漆器のイメージを話してくれました。たしかに、敷居の高さや扱いが難しいんじゃないかという漠然としたイメージ、ありますよね。
漆器を体験する前に、まずは漆のお話から。


動画や写真を見ながら、漆掻きについてもお話しいただきました。
漆器の使い心地を触って、口にして、五感で体験しながら、つくり手のお話を聞く体験会。今回お話してくれたのは、代表的な漆器産地である福島県会津で生まれた漆器ブランド「めぐる」のつくり手・貝沼さんです。
つくり手といっても貝沼さんは、職人さんと共に商品を開発するプロデューサー。地場産業に関わる機会から漆器の魅力にはまっていったそうです。
そんな貝沼さんだからできる漆と漆器のお話。
みなさん一度は、漆の器に触れたことはある。と思っていますが、僕なんかは今まで触れたうつわが本当に”漆器”だったのか、自信がありません。漆器っぽいうつわがありすぎて。漆器ってなんだ、そもそも漆とは、の話から丁寧に教えてくれました。
古くから漆の自然の力を大切に利用してきたこと、次の世代に漆をつなぐ漆の植林活動についてもお話いただきました。
何本も漆掻きのための線が入った漆の木、それでも自分を守るために漆を出し続ける様に、たくましさと健気さを感じずにはいられませんでした。
そのうえで、漆器「めぐる」ができる過程では、職人の思いと自然の流れをそのまま受け入れる時間が反映されているのだと、映像や写真を交えてお話いただきました。

手に持ったときや口をつけた時の感触を細部まで追求するため、「めぐる」の三つ組椀は、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のアテンドの方たちの声を反映しながら作られました。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、本当に何にも見えない漆黒の暗闇を、普段から目を使わない視覚障害者の方たちがアテンドし、視覚以外の感覚を広げて対話を行う、暗闇のソーシャル・エンターテイメント。
視覚に頼らずに生きる彼女たちが持つ優れた感性が「めぐる」のかたちや重さ、温かさをつくっているのだと知りました。映像の中でアテンドの方が完成した漆器に頬ずりをしている姿がとても印象に残りました。
また、みなさんからの質問も多かった日常使いする上でのアドバイスやお手入れも教えていただきました。
貝沼さんが日々肌で感じているからこそ蓄積された漆への熱量と知識。いろんな角度から飛ぶみなさんからの質問のおかげもあり、存分にお話を伺えました。


いよいよ「めぐる」の三つ組椀を実際に使って食事をします!
三つ組椀は、3種類の器「飯椀・汁椀・菜盛り椀」を一組にして、一汁一菜が完成します。今回は、ご飯と具だくさんの味噌汁、てならい堂の食品でおかずをつくり、みんなで食べました。
漆器を使って食べるときは、思わず目を閉じて、”家で食べてる自分”を思い出しながら、漆器の滑らかさや手に馴染む感覚、なにより自分に合うかどうか、を瞑想的に感覚を研ぎ澄ませました。
漆器を持ったときに感じる重さ、手にすっと馴染んでバランスをとりやすい角度、汁を飲むときの口当たり。いつも当たり前に行っている所作がいつもと違くなる。どうやって食べていたっけ。
手や口の感覚に全集中していたら、カンっと漆器と箸が当たる音が聞こえてくる。ぜんぜん嫌な音じゃないし、なんなら心地よい。
とくに驚いたのは匙。食器によって口触りが違う、味が変わる、とよく聞くけど、そんな”微かな違い”のレベルじゃない!匙で貝沼さんおすすめの卵かけご飯を食べたときは、口に自然に食べ物が流れてくる、という感覚でした。
最後は、神楽坂ストアの明かりを消して、真っ暗闇の状態で漆器を触る時間。暗くて静かな空間で感覚を澄ませました。

てならい堂では、みなさんに五感を使う体験をこだわっていますが、今回の体験会はまさにそのすべてを使う”身体性”を引き出す体験だったと思います。
樹木の恵みを食卓に取り入れ、使い続けることで、自然のリズムとリンクする。それを意識して身近に感じて生活することができる。大切な人と共有し続けられる。
食事の時間を大切にすることが、自然や自分自身を大切にすること、につながる。周期と時間を考える体験ができました。

貝沼さん、参加いただいたみなさん、時間の流れをと自分を見つめ直す体験をありがとうございました。これからも愉しい催しを開催していきます。
また来年もよろしくお願いします!







