『めぐるどうぐ』はモノを手に入れる前に、借りて、触って、使ってみるお試し体験です。

いいモノは使ってみればその良さがわかります。でも「良さそうなのは分かってるけど、値段が高くて、なかなか手が出ない、、、」とか、「お手入れも難しそうだし、ハードルを感じる、、、」なんて思ったことありませんか?

皆さんに気軽にいいモノを手に取ってもらえるように、モノを手に入れる前に、借りて、触って、使ってみるお試し体験『めぐるどうぐ』を始めます。

買おうかどうか迷って気になっていた道具について、てならい堂が貸し出し用の道具をご用意。皆さんのご自宅で実際に触って、使って、感じてから、判断してください。貸し出し費用をいただきますが、ご購入の場合は、購入代金に充当することができます。

サポート会員限定のサービスです。ぜひ気軽に良い道具に触れてみてください!


漆の器とは?

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漆の器とは?と聞かれて私たちがイメージするのは、高級な器、お祝いの席で使うもの、お手入れが面倒そう、、、今、私たちにとって漆器(しっき)はあまり身近な道具ではないのかもしれませんね。

そもそも漆器ってどんなものなのでしょう?基本的には、木地(きじ)と呼ばれる木材を削り出してつくられたお椀やお皿などの器に、漆の木から取れる天然の樹液を幾重にも塗り重ねたもの、だそうです。ふむふむ。木の器であること、そして漆が使われていること。そこまでは何となく知ってますよね。

この「何層にも漆を塗り重ねる」ことがポイントで、何度も塗り重ねることで、丈夫で壊れにくくなることが漆の特徴。漆が重宝されてきた理由なのです。また実際に持ってみると、漆器はとても軽い!木の器であることはもちろん、漆はウレタンなどの合成塗料と比べても軽いんです。

そしててならい堂が、何よりも漆器についていいなーと思うのは、長く使い続けられるということ。割れたり欠けたりしても直すことができますし、使うほど色艶が増していきます。

新しく買ったその日が最高の状態で、後は劣化していくだけの道具よりも、使い続けることでどんどん味がでて、馴染んで、自分にとって大切なものになっていく。そんな「育てられる」道具に、てならい堂は強く惹かれます。

漆器はまさにこの「育てる道具」の代表格。子供にも受け継いで使ってもらうのを想像しながら、どの器にしようかと考えるのも漆の器を選ぶ楽しみの一つではないでしょうか。

毎日の器として、自分だけの特別な椀として、子供への初めての食器として、あなたも育てる道具を始めてみませんか。

漆器をお貸出ししたい訳img_2296

 

さて一般的なお話ですが、軽くて”漆っぽい見た目”の器というのが、実は売り場にはたくさんあります。けれどその価格は100円〜数万円まで様々。では、何が違うのでしょう。

例えば漆の塗り方。漆器の特徴として”何度も塗り重ねる”と先ほど言いましたが、スプレーで吹き付けることでコストを安くする方法があります。あるいは、漆に似せた塗料もありますので、これも漆と比べると格段に安くなります。けれどももはや漆ではないんですね。

さらには、漆を塗る器自体がプラスチックの場合もあります。こうなるともはや、プロのつくり手でもこれを見抜くことは困難なのだそうです。これらはどれも、手間暇かかる分どうしても高くなってしまう漆の器を、手に取りやすい価格にするためのつくる側の工夫ではあります。

けれども、自分にとってのこころよい生活を探す私たち生活者が本当に手に取りたいのは、”それっぽい器”ではなくて、漆器が持つ良さを引き出すために、手間暇かけられた本物の器ですよね。

私たちの生活のためにかけてくれる手間暇に対して、きちんとその対価をお支払いしたいと思います。だってそうでないと、手間暇かけて”ホンモノ”を作ってくれるつくり手がいなくなってしまいますからね。子どもの世代に残すことができなくなってしまいます。

そして、一体どのように作られているのか見極めが難しいからこそ、最初から顔の見える、話のできる、そして信頼できるつくり手の品を手にいれるのが良いのではないでしょうか。

てならい堂は、数ある信頼できるつくり手の器の中から、まずは輪島キリモトさんの器を、会員の皆さまにお貸出ししたいと思います。

輪島塗とは?

金沢 輪島の棚田の風景

金沢 輪島の棚田の風景

また、輪島にはウルシやヒノキ、アスナロなど木地として使われる材料が豊富だった事、地の粉(じのこ)と言われる下地材が多く取れた事、漆を乾燥させるのに適した乾燥した土地である事など、様々な要素が揃っていたから、質の高い漆製品をつくって全国へ広めることができる産地として栄えたようです。

お話を聞くと、この「地の粉」の力がスゴい。「地の粉」とは輪島市内で採れる珪藻土(けいそうど)を低温で焼いて精製して作られたもの。珪藻土はプランクトンの化石が堆積してできた土で、火に強い特徴があり、他に七輪や耐火レンガの材料として使われているものです。

輪島の珪藻土は特に純度が高いのですが、これを漆と混ぜて下地材として使用したところ大変強度が強い漆の商品が完成!これこそが輪島の漆器足らしめてるものなのですが、江戸時代に職人によって、偶然発見されたと言われているそうです。奇跡とすら言ってもいいのかも!時として、こうした偶然が歴史をつくることがあるように思うんですよね。

さて、こうしてできた漆器を全国に売り歩き、輪島塗は漆器の中でも硬くて丈夫で品質の高い商品だと評判が広まり、輪島塗を売り歩く商人の方は、「漆部(うるしべ)さん」として重宝されたそうです。売る方も買う方も、きっと誇らしかったのでしょうね。

そう。輪島塗のお話を聞いて、てならい堂はそこに”誇り”を感じました。”誇り”はともすると、少しハードルを高く感じさせてしまうこともあります。けれども、ちゃんと知った上で、その道具を使い始めることで、私たちもその誇りごとモノの物語を受け継ぐことができるのだと思います。

輪島塗が持つ誇りの物語と、私たちの生活をつなげてみたいと思いました。

輪島キリモト の漆器 %e8%bc%aa%e5%b3%b6%e5%b7%a5%e6%88%bf%e5%86%85%e8%a6%b3%e6%b8%85%e8%8a%b1%e6%92%ae%e5%bd%b12

 

数ある輪島塗の中からてならい堂がご紹介するのは、輪島キリモトさんの器。キリモトさんは江戸時代から漆業を営み、200年以上『木と漆』に携わってきた歴史ある工房の一つです。

7代目となる桐本奏一さんが帰郷してからは、木地屋を生業にしながらも木地から漆塗作業まで一貫した業態を取るようになりました。分業制が当たり前の漆器業界としては珍しい取り組みだったようですが、一貫して行うからこそ独自のデザインや技法を追求できるし、漆器をより多くの人に使ってもらうための”新たな挑戦”もし続けられるのだなと、てならい堂は桐本さんのお話に並々ならぬ「熱量」を感じました。

それではここから、キリモト さんの製作の工程を見ていきましょう。

①木地は4種類にも分類され、椀木地/指物木地/曲物木地
/朴(ほう)木地。写真は椀木地の荒削りの状態で、
しっかりと乾燥しているところ。

②椀は「木を挽いて作る」という、
昔は紐を挽いて木を削っていたから、木を挽くと言うそうです。
職人さん繊細な手の角度で椀のキレイな形が
出来上がっていきます。


③削り上がったところ。この段階で既に素敵です。
一つ一つ丁寧に挽かれた椀達ですもんね、
もう佇まいが違いますね。

④木地を頑丈にする木地固めを行った後の布着せ。
欠けやすい所(椀の縁、高台、椀底)に
綿や麻などを漆を使って貼り付ける。
輪島漆器の特徴です。


⑤上塗りの作業中。
輪島の地の粉 一辺地、二辺地、三辺地と
荒い地の粉から細かい地の粉と塗り重ねた後の
中塗りを経てからの上塗りです。。。
何度も研いでは漆を塗り重ねていきます。

⑥完成!
完成するまでにここまで多くの工程を経るとは。。。
キリモトさんの思いと一緒に、江戸時代からの職人さん達の
思いを経てこの椀が作られてると思うと感激です。

 

仕上げの違いについて

一言で漆器といっても、形はもちろん表面の仕上げ方にも様々な違いがあります。仕上げに違いによって、見た目にも持った際にも質感が全く違います。さらに言えば、この仕上げの違いは「長く使うための」職人の技術の使い分けなのだと、てならい堂は考えています。私たち自身が使い続けることを見据えて吟味することも、道具を選ぶ楽しさではないでしょうか。

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本堅地(ほんかたじ)仕上げ

 

最もオーソドックスな輪島塗の器をご希望ならばこちら。やわらかな艶のある本堅地仕上げは、輪島の地の粉で下地をしっかりと施した後、中塗り上塗りと何層にも漆を塗りかねる事で表面に厚みがあり、漆ならではのしっとりとした表情を楽しめます。
塗り重ねられた層は9層にもなります。使えば使うほど艶を増し、色も明るくなっていきます。

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makiji(蒔地/まきじ)仕上げ

 

ナイフやフォークを使うことも多い現代の生活を踏まえて開発された、金属のカトラリーを使用しても傷がつきにくいキリモト独自の技法です。天然木に「漆布着せ」を行い、下地を施した後、表面に近い部分でもう一度「輪島地の粉」を使用し、漆を塗り重ねて仕上げています。持った時の手にすっぽりなじみ、温かみのある表情です。
使用していくと、表面のザラつきは滑らかに、艶が出て、色も明るくなっていきます。


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千すじ(せんすじ)仕上げ

 

手仕事の過程を感じてもらえるように、職人の下地を塗りつける際に出来るすじ模様を、あえてそのままにした仕上げとなっています。また、経年による色の変化を特に楽しめるようにと、色漆を2回、黒漆を6回塗り重ねて仕上げています。
makiji仕上げと同様に金属のカトラリーでも傷が付きにくく、使えば使うほど表面の漆が落ち着き色が明るく、艶も増していきます。

数あるキリモトさんの器の中から、「初めての漆器として選ぶなら」という視点で、てならい堂が皆さまを代表して、4点に絞りました。

端反椀(本朱)中 φ122×h68mm/約350ml

端反椀(本朱)中サイズ φ122×h68mm/約350ml
本堅地仕上げのスタイルのきれいな器。ピカピカのもの
ではなくマットな質感のものを選びました。色は黒と朱色の
二色。赤がかわいいなと思って、お貸出し用は朱色をご用意。
いずれの色も、徐々に艶の出る変化を楽しめます。
オーソドックスなお椀として使ってもらえると思います。

小福椀(ベンガラ)中 φ106×h65mm/約340ml

小福椀(ベンガラ)中サイズ φ106×h65mm/約340ml
傷のつきにくいキリモトオリジナルのmakiji仕上げの器。
端反椀よりもさらにマットです。小振りなので、女性用の
飯椀・汁椀として、あるいは小鉢としても。使い勝手良いです。
色は黒とベンガラの二種。お貸し出しはベンガラです。


千すじやま椀(ベンガラ)φ128×h65mm/約400ml

千すじやま椀(ベンガラ)φ128×h65mm/約400ml
ボーダー状に筋の入った独特の質感。makiji仕上げ同様に傷は
付きにくいので、質感のお好みで選ぶのが良いかと。
色はねず(み色)とベンガラ(赤)の2種。 貸し出し用は
ベンガラです。赤色には見えないんですが、使うほどに、下に
塗り重ねられた赤が出てくるんです。そんなこと言われたら、
早く赤くなるよう、たくさん使いたくなりますよね。

千すじ鉢(ねず)φ185×h71mm/約850ml

千すじ鉢(ねず)φ185×h71mm/約850ml
初めての漆器はお椀がいいなと思いつつ、 金属製の
カトラリーがストレスなく使えるのがキリモトの器の真骨頂
ですから、少し大きめのサイズのボウルをご用意しました。
これぞ、普段使いという感じで、サラダをフォークで食べても、
カレーをスプーンで食べても大丈夫。
経年変化が楽しみな千すじ仕上げで色はねずとベンガラ。
貸し出し用はねずの方です。

 


こちらは千すじ仕上げの経年変化の見本。
「弁柄」です。上の写真の通り最初は黒っぽいのですが、
使うほどに、下に塗り込まれた赤が出てきます。

こちらは千すじ仕上げの「ねず」の経年変化見本。
こちらも最初は黒っぽいのですが、使うほどに下に塗り込まれた
白漆のために、オリーブグリーンっぽい色になります。


 

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作り手

桐本泰一(きりもと たいいち)

輪島キリモト の7代目になる泰一さんはプロダクトを大学で専攻し、卒業後は企業でオフィスプランニングに携わった後、輪島に帰郷し木地業の弟子修行を行いました。漆器の造形提案やデザイン提案など様々な形で漆を全国に広めて行く活動をしています。

現在では生活の中で馴染む漆を目指し、自ら木と漆のデザインを行い、新しい技術の追求など漆の可能性を日々探求しています。

 

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ブランド

輪島 キリモト

石川県輪島にて、明治・大正時代は漆販売業として、昭和初期には木地屋「朴木地屋 ・桐本木工所」として名を有名にしてきた桐本家。漆器だけでなく、家具や内装材など漆を使って様々な表現をされ、木と漆が生活に溶け込むように挑戦を続けています。平成27年前代表から家督を継ぎ、商号を「輪島キリモト 」に。