暑い日が続きますね。9月あたりからは少しづつ和らいでほしいな、そんな思いも込めて、秋の気分を感じられる柿渋染めのワークショップをやります。

“染める”をより深く、身近に感じられる2日間の柿講習。9月は、柿渋染めの技法や魅力について学んだり、収穫した柿から染料を自分でつくります。そして、10月は自分でつくった染料を使って、実際にサコッシュを染めて上げていきます。

もちろん、2回通してしっかり学んでもらうのがおすすめですが、どちらか1回のみの参加もOKです。9月の回のみに参加する方は、染料を持って帰って、おうちの衣服を染めてみてください。10月のサコッシュ染めだけの参加でも染料を用意しているので、ご安心くださいね。

秋にいつも食べてる柿で布を染めてみる、持って帰ってからも変化を楽しめる、そんな楽しい体験なので、お子さんの参加も大歓迎です。

”染の里おちあい”さんの裏の柿の木。収穫から染色までできる工房、レアな体験です。

”染の里おちあい”さんの裏の柿の木。収穫から染色までできる工房です。

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渋柿の実を染料にして染める柿渋染め。夏の時期に、柿の未熟果を採って、果汁を絞り、発酵させた”柿渋”で染めます。なので、その年の柿の出来具合や、染める季節、天候によっても色合いや濃淡にかなり変化があります。

甘柿じゃダメなの?って思いますよね。染める上で重要な役割を担うのが、タンニン。お茶の成分としてもよく聞くものです。

実の中にあるタンニンが水に溶ける状態で散らばっているから、渋みが出るんだそう。逆に、タンニンが固まって水に溶けない状態になっているのが、渋みを感じない甘柿です。

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てならい堂でも柿渋染めで旗をつくりました。染めたては薄い色ですが、日に日に色が変化し、今はかなり濃くなっています。

そんな柿の特徴を活かした柿渋は、色々な効用があるため、染色以外でも古くから使われていたそう。

例えば、防水性から、傘や漁網に。耐久性から、うちわなどの和紙製品に。高血圧の薬として飲んだり、火傷やしもやけを治す為に肌に塗ったり。染色用の型紙も柿渋を塗り重ねてつくられています。あとは、以前ミイラ展で、即身仏を見たのを思い出しました。その方は、自分で即身仏になるため、柿の防腐作用に着目し、直前に柿の種を大量に食べたそうです。

現在の用途としては、清酒の濁りを取り除く清澄剤や、化粧品などに使われています。柿渋を使った石鹸もありますね。

今回柿渋で染めるのは、厚手のサコッシュです。なにかと使い勝手の良いかわいいサコッシュで、色味の変化を楽しんでください。

今回柿渋で染めるのは、厚手キャンバス地のサコッシュです。なにかと使い勝手が良く、見た目もかわいいサコッシュ。色味の変化を楽しんでください。

そして、柿渋染め最大の特徴は、どんどん色味が強くなる事です。使い込むほど、古くなるほど、良い色になっていきます。柿渋で染めたものを太陽にさらしておくと、濃い色に変化します。化学染料など他のものだと、色やけで薄くなっていくから不思議な感覚です。

この特徴から、柿渋染めは”太陽の染め”と呼ばれているそう。反対に、光の当たらない場所で保管しておくと、ゆっくりゆっくり色に変化が出てきます。あとは、レモンなど酸性の強いものがかかっても、色が変わります。草木染めの”生きている”感がやっぱり柿渋染めでも感じられますね。

染める素材や何年経ったかでガラッと雰囲気が変わる柿渋染め。

染める素材や染めてからの年数でガラッと雰囲気が変わる柿渋染め。

体験の日は色が薄くて、もしかしたら”染めた感”が薄いかもしれません。でも何日も何年もかけて濃く育っていくのが醍醐味。一緒に生活することで出てくる色味の変化を楽しんでくださいね。

 

※7月14日(金)10時まではサポート会員優先期間となります。
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